ビリー・アイリッシュ、憧れのグリーン・デイ:ビリー・ジョーと対談! 「君の曲は人の命を救っている」と言われる

ビリー・アイリッシュ、憧れのグリーン・デイ:ビリー・ジョーと対談! 「君の曲は人の命を救っている」と言われる

ビリー・アイリッシュが、彼女と兄のフィニアスにとって子供の頃からのヒーローであり、そして最も影響を与えたアーティストとしていつも名前を挙げているグリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングと最新のローリングストーン誌で対談している。

https://twitter.com/RollingStone/status/1189268144755482625

映像を見て、さすがビリー・アイリッシュだと思ったのは、あくまで表面的だが怖じ気づいていないこと。それどころか、対等に話している。時々めちゃくちゃ幸せそうに眺めているのがかわいいけど。ビリー・ジョーに対して「今でも歌ってるし、しかもゴージャズだし」と言ったところで笑ってしまった。「this dude」と呼んだり、独特のカジュアルな言葉使いも彼女ならではで素敵だ。

こちらカメラマンBrad Ogbonnaのインスタにポストされた写真。


ビリー・アイリッシュは、ビリー・ジョーがライブ中にファンを蹴飛ばしたYouTubeを何度も観ていたらしく、「マジ最高」と言い、一体あれはどうして起きたのかと訊いていたり、グリーン・デイが突然売れた時にその状況を楽しめたのか? など訊いているのが興味深い。

https://www.youtube.com/watch?v=DGb5xTLxrVc&feature=youtu.be

以下要約(ビリー・アイリッシュ=I、ビリー・ジョー=J)



●壁紙について

I「私の壁紙だった人が目の前にいるなんて信じられない!」
J「俺が壁紙だったの?」
I「そう。携帯の壁紙」
J「ああ、その壁紙か。最高!」

●音楽的な影響について

I「私の兄が、どれだけグリーン・デイのファンだったかというと、レベルが違った。彼はほとんどあなたそのものになりきってる感じで(笑)。格下げ版のあなたという感じだった」
J&I「(笑)」
J「(笑)。いまでは格上げ版の俺だけどね」
I「彼は、これ以上ないくらい大音量で毎日聴いていた。毎日いつでもどこにいても」

J「ヒップホップを知ったのはいつ頃?」
I「それは11歳か12歳くらいで、この世界を全く知らなかったと思った。チャイルディッシュ・ガンビーノとタイラー・ザ・クリエイターを聴いた時に、ワオ! 自分に必要だったのはこれだ、と思った」
J「君達は音楽がジャンル・フルイドとも言える世代だと思うから」
I「それマジ耐えられないから、オエ〜」
J「何が?」
I「ジャンルが。オエ〜。ジャンルごとに明確に別れている世界に生きていたらすごく大変だったと思う。今は限界がなくて、何でもできるように思える」

●ビリー・アイリッシュとの出会い

J「俺は、マリア・マッキーのInstagramをフォローしているんだけど、そこで彼女が君のフェスティバルの映像をポストしていたんだ。観客が一斉にジャンプするのを見た時に君を発見した。『やべえ、音楽も最高』と思った。それで、彼女の名前のスペルが、ieで終わると気付いて、俺のInstagramに彼女がインスタで“Billie"というバンダナをしている写真をリポストしたんだ。『このグッズどうやって買えばいいか知ってる?』ってコメントしてね」
I「あれは人生で最もクレイジーな日だった」


●作曲について

I「“bury a friend"を書いた時に、お母さんと絶対誰もこの曲を好きになるわけがないと話していた。だってサビの歌詞は《自分を終わりにしたい(=死にたい)》なわけだから」
J「俺がいつも惹かれる音楽って、自由を感じられるものなんだ。俺にとって君の音楽は正にそれで、自由そのものだ。しかも誠実な人が自分を新しいサウンドで表現しているように聴こえる。それで、あの曲で君は死について語ってるわけだけど、それ以上リアルなことってないからね。歌詞がすごくリアルに思えた。音楽においてリアルであるというのはすごく大事だ。とりわけ、人工的で、リアルでないようなものに囲まれているような時はね」

●ライブについて

J「初めて観た君のライブは本当に最高だった。みんなが大合唱していて、ほとんどイギリスでサッカーの試合を見ている様な感じなんだけど、みんなが大合唱しているのは、すごくダークな内容だ。だから、さらにクールだと思った。教会にいるみたいだったよ」
I「ビリー・ジョー・アームストロングがライブを観ていると知って、今までライブでなったことないぐらいに自意識過剰になった」
J「え、マジで? ごめんね」
I「いや、悪いことじゃなくてね。でもマジで、あんなにやばいと思ったことなかったから」

J「俺は今悪いライブをしても、あまり気にならない。というのも、人生ってとっ散らかってるものだから。それに、それが俺がパンクに惹かれた理由でもある。このひとつの巨大な不完全さ。それにパンクが何かと考えたら、クズから美を生み出してるようなものだからね。俺が君のライブを観た時に言っていたことで好きだったのもそれだ。とっ散らかっていてもいんだ、ということだった。俺は、それについてずっと考えている。ライブを観た人達も家に帰った後にそれを思い出していると思う。例えば、“wish you were gay"みたいな曲は、超最高で、あの曲は人の命を救っていると思うんだ。マジでそう思う」

●ツアーについて

J「人生のすべてが、旅してツアーすることになってしまう。ただ昔は、音楽シーンがアルバムを出し続ける構造になっていたけど、今は自分の思った通りのことができる。そう思わない?」
I「うん、そう思う。自分が絶対そうだと思ったらやるべきだと思う。それにあなたの人生は、他の誰もが経験できない。あなたしかその人生は生きられない。だから、この人以外はそれがどんなものか絶対に分からない。あなたはまだ歌ってるし、しかもまだゴージャスだし」
J「(爆笑)」
I「いまだにあなたのまま。ものすごく色々な体験をしたはずなのに」
J「俺の人生はまったく違う方向に行っていた可能性もあった。だけど、俺は大好きなことをやり続けていられて本当に嬉しく思っている。しかも人がそれを観に来てくれる」



ビリー・アイリッシュは、一番好きなグリーン・デイの曲は、”All by Myself"だと語っている。トレが書いた隠しトラックだ。渋い。


よく「幻滅するので自分のヒーローには会うな」と言うけど、ビリー・ジョーは彼女も言ってる通り、いまでもカッコいいままだし、人間的に本物なので、ビリー・アイリッシュは嬉しかったと思う。

また、ビリー・アイリッシュがビリー・ジョーとの撮影をインスタにポストしている。 コメントがまたビリーらしい(笑)。


「この日はマジで現実だとは思えなかった。本当に私が今の自分になれたのは、どれだけこの人のおかげだったのかというその恩は語り尽くせないほどだから。彼と家族が、私達のライブを観に来た時は、マジで、お兄ちゃんと私はおしっこちびった。この取材は、私の人生の頂点だと思う。ローリング・ストーン誌とビリー・ジョー、どうもありがとう」
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする