スフィアン・スティーヴンスが、去年発売された最新作『The Ascension』から“Tell Me You Love Me” のMVを発表した。監督を務めたのは、スフィアンが曲を提供した映画『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノだ。
MVはこちら。
届いたプレスリリースの中で、監督がこのMVについてコメントを発表している。
「人に愛されたい、求められたいと思う時に感じる痛み。崩壊する体のミステリー。自然の恐怖。荘厳な音楽による詩とスフィアンの声。そのすべてがこのビデオで描かれている。それを2人の偉大なアーティストAlessio BolzoniとCelia Hemptonとともにこのビデオで表現できたことを誇りに思っている」
彼が言うように、「信念」を失ったあとで、せめて君に「愛していると言って欲しい」と歌うこの曲には、愛を求める痛みや、怒りとも言えるスフィアンの切望や葛藤が描かれている。それは『The Ascension』全体にも流れているテーマだと思う。個人的には彼の大ファンなのだが、そのテーマのせいで息苦しくなってしまって、一度に聴ききれない重い作品になっていた。この曲でも「愛していると言って欲しい」とずっとスフィアンに怒られているような気分になる。しかし、ちょうど3分12秒のあとに、スッと抜ける瞬間があり、アルバム全体の中でも唯一というか最も上がっていく、正にアセンションな極上の美しいサウンドが降り注ぐ。その直前に狐が横切る映像を挿入した監督は素晴らしいと思った。
NYタイムズ紙のヘッドライターは『The Ascension』を去年の年間ベスト・アルバム・リストの1位に選んでいた。
曲に合わせて予約が開始されたビーバーのTシャツはかわいいw
https://sufjanstevens.bandcamp.com/merch/sufjan-stevens-beaver-tell-me-you-love-me-t-shirt-pre-order-ships-april-2021
ちなみに、スフィアンはアルバムの発売後に、CARMとのコラボ曲“Song of Trouble”を発表している。
制作に長いことかかった曲だと言うことだが、あのアルバムの後に続く曲としてぴったりだと思った。こんな風に優しく歌うスフィアンの声が聴きたかった。
このアルバムでコラボしているジャスティン・ヴァーノンもこの曲のスフィアンの歌詞を絶賛。
「Carmのこの曲を何年も何年も聴いてきたから、みんなが聴けることになってすごく嬉しい。この歌詞は、スフィアン先生が書いた最も強烈な歌詞なんじゃないかと思う。しかーーーも、今の時代を言い当てているようにも思う。自分のために聴いた方がいいよ」
ジャスティンのコラボ曲“Land”はこちら。
週末はバレンタイン・デーなので、スフィアンはそれに合わせてこの曲を発表したのだと思うけど、ちょっと痛々しすぎるかも?
同じ痛々しいならスフィアンが作った「君の名前で僕を呼んで」のナレーションとも言える“Mystery of Love”もおすすめ。
この曲でオスカーにノミネートされたスフィアンだが、アカデミー賞でのパフォーマンスについては「人生で最もトラウマになる体験だった。アメリカの嫌いなところが凝縮されたイベントだった」と語っていた。
それではみなさん、ハッピー・バレンタインズ・デー❤️
『ロッキング・オン』最新号のご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。