NY州は、知事が「18歳以上がワクチンを1回接種した率が70%に達したら、コロナ規制をほぼ解除する」と発表したらものすごい勢いで接種率が伸びて、約1週間で目標に達してしまった。前も書いたけど、目標値を発表した日くらいに、NYで1年以上ぶりのライブが次々に発表された。
その中で、アメリカのエンタメの頂点であり、成功の象徴と言えるマディソン・スクエア・ガーデンで、466日ぶりにロックを鳴らしたのがフー・ファイターズだった。なんとその記念すべき瞬間が10分弱の映像になって公開された。
さすが、デイヴ・グロール。映像の最初に良いこと言っていて泣ける。
「俺は去年何度も何度も同じ夢を見た。
俺がステージに上がり、
みんなと初めて目と目を合わせている。
数分間ね。
それでお互いを見つめながら、
『ああ、良かった。今夜ここに戻って来られて』ってさ。
それで俺は今夜こうやってステージに上がったわけだけど。
それは、俺が何度も見てた夢と全く同じだった。
だからみんなありがとう。
俺の夢を、今夜本当に叶えてくれて」
良いこと言うなあ(涙)。
映像の最後に「ロック・イズ・バック」って堂々出てくるけど、そこにはマディソン・スクエア・ガーデンの誇りと喜びとここまでの辛さを感じる。
それから、以前ザ・ストロークスの復活ライブの様子を会場前まで見に行った時も思ったけど、今回もこの映像に出てくるMSGで20年以上働いているというスタッフの喜ぶ姿を見るのが本当に嬉しい(涙)。
実は、私は情けないことに、ワクチンの2回目の接種から2週間経過していなくてこのフーファイのライブに行けなかった(涙)。でも会場までは行って思わずTシャツを買ったので、読者プレゼントにします。日本でも早くデイヴさんがファンの目を見れますように! 8月号の読プレには間に合わなかったので、9月号の読プレになります。欲しい方ぜひ応募してください。
アメリカではこの後、シカゴの「ロラパルーザ」で大々的なフェスが復活する。
8月1日の大トリが、フーファイだ。
「ロラパルーザ」は、開催されるシカゴ市のガイドラインに従い、入場の際にワクチン接種済みの証明書を見せるか、会場入りの72時間以内に検査を行い陰性だった人のみが入れる。
アメリカはこれまで1年以上も完全に閉鎖されていたが、現時点では、基本的にはワクチン接種済みか、検査陰性だったら、ライブ会場に入れる。フーファイのMSGは、ワクチン接種済みの人のみでキャパは100%。ライブ会場の経営者に選択の権利があり、ワクチン接種者のみで100%のキャパにするか、または検査陰性者も含む場合は、キャパを減らすのかなど規定がある。
●その他気になるフェス事情。
イギリス政府が、フェスや集会を安全に復活させるための実験を行なっていることは前にもレポートしたが。
https://rockinon.com/blog/nakamura/198768
https://rockinon.com/blog/nakamura/199101
続報をお伝えする。
1)「ダウンロード・フェス」
イギリス政府の実験の一環として4月30日&5月1日に開催し、ファットボーイ・スリムが出演したクラブ・イベント「The First Dance」、そして、5月2日に開催されブロッサムズがヘッドラインを務めた屋外フェスの結果が成功だったため、一度はキャンセルとなっていたダウンロード・フェスが復活し、6月に開催された。
両イベントとも、マスクなし、ソーシャル・ディスタンスなし、ワクチン接種の証明証も必要ないが、イベントの前後に検査を受けなくてはならず、入場できるのは陰性だった人のみ、という条件で行われたフェスだった。
「ダウンロード・フェス」は以下条件で開催された。
・6月18日~20日の3日間開催
・通常8万人が集まるフェスを1万人に制限
・事前に検査、陰性者のみ入場可
・屋外イベント
・期間中、観客はキャンプ泊
・マスクなし
・ソーシャル・ディスタンスなし
・モッシュあり!
この結果が成功認定されれば、通常のフェス復活の可能性が大きく広がる。
このイベントで調査を行なっている科学者がBBCに答えたところによると、「フェスを復活させるためには、通常のフェスに可能な限り近い形で実験をしなくてはいけない。そうしないと、何をするのが危険か理解できないし、それが理解できないと、危険を減らすことができないから」と。
それでどの記事を読んでも、「ダウンロード・フェス」の結果は成功だった、と書かれていて、また実験を行なっている政府の科学者も成功だったと言っているんだけど、具体的に何人がコロナ陽性となったのかは見つからない。見つかったらアップデートしますが、とりあえず、これが成功だったことを元に、イギリスは次の実験をこれから行う。
2)「トラムラインズ2021フェス」
これも政府の実験の一環で、以下条件にて開催される。
・7月23日~25日開催
・キャパは通常のフルで1日4万人
・フェスの48時間以内に検査で陰性か、ワクチン2回接種済の人のみ入場可能
・マスクなし
・ソーシャル・ディスタンスなし
・通常のフェス
実験を行なっている英政府の担当大臣は、こう語っている。
「みなさんが、夏フェスにどうしても戻りたいという気持ちは痛いほど分かります。なので、みなさんにこの実験に参加していただくのはとても重要です。
これから国が再オープンするにあたり、今年のトラムラインズ・フェスティバルは、非常に重要な科学的証拠を提供してくれることになるからです。コロナの実験が引き続き行えて、これまでリバプールのSefton Parkとダウンロードで行った実験の成功から我々が学んだことを、さらに積み重ねることができるからです」
またフェスの主催者も、「実験を重ねて、可能な限り明確なガイドラインを一刻も早く作ることが、フェスを安全に再開させる重要なポイントだと思う」と、今回の実験に参加できることを喜んでいる。
さらにフェスが開催される地元衛生局のディレクターは、「安全に文化的なイベントを行えるように手助けをするのは、我々が愛することを自由に安全に楽しめる生活に戻るために、非常に重要なことです。これまでの結果が非常にポジティブなので、通常に戻るための次なるステップを、今回我々は踏むことができるのです」と語っている。
ちなみに、この実験に同意できなかった人がいる。ヘッドライナーのリチャード・アシュクロフトだ。政府の実験だったとは知らなかった、それなら出ないと、キャンセルしている。代わりに、スーパーグラスが決定した。
その他、ザ・ストリーツ、とロイヤル・ブラッドがヘッドライン。
イギリスでは、現在デルタ変種株の感染が拡大しているのが心配だが、現時点では予定通り7月19日に規制を解除するようだ。
イギリスは、人口の51.1%がワクチン2回接種済み。アメリカは、48.1%。日本は15.2%。
アメリカではワクチン接種率が低い州で、デルタ変種株が拡大しているのでそれが心配だ。9月になるとビリー・アイリッシュなどがヘッドラインのフェスをはじめたくさん控えているけど、2ヶ月先を楽しみに待つ、と言うよりは、今回の教訓で言えば、明日はどうなるか分からないので、今できることはやった方がいい、な気がする。
みなさん、引き続きお気を付けて。良い週末を〜。
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