"District 9"。新しい才能というのはいつもどこからか突然生まれる。

"District 9"。新しい才能というのはいつもどこからか突然生まれる。

今年のコミック・コンでプロデューサーの、ピーター・ジャクソンがプレゼンテーションし、ナードがぶっ飛んだSF映画”District 9"。先週末公開されぶっちぎりの1位獲得。私の回りのジャーナリストもみんな絶賛しているのでROの原稿が終わったその足で、マジで走って観に行った!とにかくCGを使いまくりどんどんピカピカになっていくSF映画において、この作品はその真逆を行く。ドキュメタリー・スタイルだし、エイリアンが住んでいるのは、南アフリカ・ヨハネスブルグのスラム街。有名な俳優は誰ひとり出ていない。
内容は話さないほうがいいと思うのだけど、監督はヨハネスブルグ出身で29歳、これが長編デビュー作だ。すごい。こんなSF映画観たことない。というかSF映画と括っていいのかも不明。究極的にはいつだってオリジナリティとクリエイティビティなのだ。とこの映画は改めて教えてくれる。特にロボットの中に人間が入るシーンなんか観ていると、今年稼ぎまくった、とにかく金をかけまくって車がロボットにこれでもかと変身しまくるあのポップコーン映画を思い出す。しかしそんなものを覆す、こういう若い才能が必ず世界のどこからか生まれてくるのだ。本当に感動する。そしてそれを1位にしたアメリカ、ナイス!(笑)。私は、普通の日の7時くらいの回を観たのだけど、映画館は観たこともないような長蛇の列だった。きっと週末に会社や学校で観た友達が、すげー面白かったと言ったのだろう。みんな学校や会社が終わって、私と同じように走って来た、という感じだった。
Variety誌が「頭を使う人のためのSF映画」と書いていて、それに続けて、ローリング・ストーン誌のピーター・トラヴァースが、「じゃあアホな人のためにSFは(省略)ということか」と書いていた。言いたい放題だ。ポップコーン映画も必要だと思う。しかしそういう映画は劇場を出た瞬間に忘れる。こういう映画で覚えた興奮というのは、絶対に忘れない。
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on