グッドモーニングアメリカ、メジャー2ndフルアルバム『inトーキョーシティ』発売まであと8日!
日替わりカウントダウンレヴュー、今日は5曲目“拝啓、ツラツストラ”です。
『ドラゴンボール改』のエンディングテーマとしてリリースされたシングル曲。もうライヴでも鉄板曲になっているので今さら説明する必要もないかもしれない。にしても、この曲の緊迫感とサビの開放感は、アルバムの中で聴いてもかなりのインパクトである。ペギのタム回しにはいつもテンションが上がる。
この曲のすごいところは、歌詞のメッセージを、メロディもアレンジもひっくるめて、丸ごと表現しているように聞こえるところだ。タイトルの『ツラツストラ』とは、いうまでもなくニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』に登場するツァラトゥストラのことである。そのニーチェの本に何が書かれているかを細かく説明し始めると長くなるしキリがないのでやめるが、ごく簡単にいうと「この世界に終末はなく、すべては同じ瞬間を何度も繰り返す」という「永劫回帰」の考えだ。つまり、徳を積めば来世で報われるとか、最後に救済が行われるとか、そういうのないですから、何度生まれ変わってもこの世界は今と同じように動くし、同じ人生が繰り返されるだけですから、という世界観だ。それってつまらないし救いがないように聞こえるし、そんな人生無意味だと思えるけど、ニーチェはそうじゃないと言う。その意味のない繰り返しの世界を、自らの意志で受け入れ肯定することによって、人間は強くなるのだと(専門家じゃないので間違ってたらごめん)。
その「今生きている瞬間」を肯定するエネルギー、歌詞にあるように《ありのままの世界》や《ありのままの自分》を愛したいという姿勢。その発想が、金廣の人生観とがちっとハマったのだろう。シンプル極まりない言葉で自分や自分を取り囲む世界を肯定しようと叫ぶ金廣の歌、繰り返されるAメロ、《嗚呼》と《拝啓、ツラツストラ》しかないサビ、3分足らずを脇目も振らず駆け抜けるようなスピード感、すべてが迷いを振りきっていくように聞こえる。そしてもちろん、そんな「ツラツストラ」へのシンパシーは、アルバム全体のテーマにも密接につながっている。生きているこの瞬間をポジティヴに受け入れていくことこそ、金廣の人生の命題なのかもしれない。
明日は6曲目“コールアップ”です。
これまでのレビューは以下。
1. inトーキョーシティ
http://ro69.jp/blog/ogawa/111450
2. アブラカタブラ
http://ro69.jp/blog/ogawa/111490
3. 何とかなるでしょう
http://ro69.jp/blog/ogawa/111512
4. STOP THE TIME
http://ro69.jp/blog/ogawa/111532