クリープハイプ、ニューアルバム全曲カウントダウンレビュー! その4:そういえば今日から化け物になった

クリープハイプ、ニューアルバム全曲カウントダウンレビュー! その4:そういえば今日から化け物になった

12月3日、クリープハイプのニューアルバム『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』発売。リリースまで、このブログで毎日1曲ずつ、レビューをしていきます。

リリースまで9日、4曲目は“そういえば今日から化け物になった“です。


■キャンペーンで尾崎さんあちこち行って、なのに帰ってきたら新曲ができてて。なんなんだと思った(笑)(長谷川カオナシ)

「世界を救う」とか「正義」とか、珍しい言葉使っているなと思ったら、この曲の歌詞は尾崎がとあるマンガからインスピレーションを受けて書いたものだそうだ。尾崎はそのマンガを読んで、クリープハイプに似ていると思ったそうだ。何の作品か、この曲聴いて分かる人は分かるのかな。

尾崎とカオナシの掛け合いも、独特なリズムパターンも、《そういえばいつから化け物になった/それでもこうして生きていくのは/死ぬ暇も無いし》という歌詞を貫くある種の退廃感も、一種このアルバムの中では「異物」として鳴っている楽曲で、曲の構成そのものはごくシンプルなのだが、メロディやアレンジは非常に凝っている。これ、尾崎は『エロ/二十九、三十』のキャンペーン中、地方で出演したイベントの楽屋であっという間に作ったそうで、それをバンドでまとめていく作業もすごくスムーズにうまくいったのだという。アルバム用の曲を作らなきゃ、と火事場の馬鹿力みたいなものが出たのか、それともそれだけバンドの調子がよかったということなのか。僕は後者だと思う。これが「アリ」になったのもクリープハイプとしての表現力に尾崎が自信をもっていたからだし、それに応えるようにアイディアを具現化していったメンバーも、今の俺たちならやれる、という手応えを感じていたのではないか。

上に書いたように、この曲の「化け物」という設定はマンガを下敷きにしたものだが、尾崎は当然そこに自分やクリープハイプというバンドを重ねているはずだ。「そういえば」自分は化け物になったんだった、と気づいたときの孤独感と、自分の中にある正義に感じる空虚さ。それが何の投影なのか、ファンならば分かるだろう。

この曲は”イノチミジカシコイセヨオトメ“とか“社会の窓“みたいな「設定もの」のひとつだと思うが、そうであればこそ、そこには尾崎の本音があるような気がする。やたらと使う巻き舌も、なんか強がっているように聞こえる。


明日は5曲目”大丈夫”について書きます。
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