KANA-BOON『Origin』全曲カウントダウンレビュー(11)「スタンドバイミー」

KANA-BOON『Origin』全曲カウントダウンレビュー(11)「スタンドバイミー」

2月17日リリースのKANA-BOONサードアルバム『Origin』。その発売に向けて、収録曲を1曲ずつレビューしていきます。
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11. スタンドバイミー

『TIME』における“パレード”のような、アルバム全体に込めた思いを象徴するテーマソング。それがこの“スタンドバイミー”だ。しかし“パレード”と明らかに違うのは、あの曲が『TIME』という物語のいわば「出口」――つまり、『TIME』というアルバムの結論として“パレード”がある――であるのに対して、“スタンドバイミー”は『Origin』の「入口」である点だ。今KANA-BOONが失ってしまったものとは何なのか、それを取り戻し、そしてどこに向かうのか。いつしか音楽を純粋に楽しめなくなっていた自分と向き合い、「君(=音楽)」ともう一度出会いたいと願う、あまりにも純粋で正直な曲、それがこの“スタンドバイミー”である。

KANA-BOONらしい等身大のアレンジで彩られた、切なげなメロディ。谷口鮪の歌だけではない、バンドサウンド全体が、必死にピュアネスのほうへと向かっていく。思ったことそのまんま、何も飾り付けずに差し出される歌詞に切実さがにじむ。この曲を生んだのは鮪の苦悩だが、この曲が生まれたことで、KANA-BOONは自分たちの居場所を再確認し、そこからもう一度「はじまる」ことができた。本当に、音楽の神様に祝福された名曲だと思う。
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