tricotのアルバム『T H E』はどうして『T H E』なのか

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tricotのファーストフルアルバム、タイトルは『T H E』(ザ)。

このタイトルの、たとえば『小学生と宇宙』というミニアルバムの題名との語感の違いが、tricotというバンドの成長とこのアルバムの強さを象徴している。つまり、定冠詞としての「THE」、「これだ!」という確信が、『T H E』にはみなぎっている。これがtricotだ、これがtricotの音楽だ。

だから、どの曲もズバンズバンとストライクゾーンに投げ込んでくるようなまっすぐさがある。もちろんそこはtricotなのでびっくりするような変調や腰が砕けそうな変拍子とか「おちゃんせんすぅす〜」とかはあるのだけれど、それらすべてが自然に、ありのままに、平然と、並んでいる。要するに「これがtricotだ!」って力んでいるんじゃなくて、「これがtricotですけど何か」っていう感じなのだ。それがかえってヤバい。

メンバー4人のバラッバラな音楽的バックグラウンドと嗜好がバチバチとぶつかり合うようなスリルがこれまでのtricotだったとするなら、今のtricotはいつの間にか全員が同じ方向を向いて、そこに向かってそれぞれの武器をぶっ放している。あの、ウルトラ兄弟が光線技合体させて放って強い怪獣倒したりしますよね。あれです。どれでしょう。

あ、あれですで思い出したけど、以前このブログで紹介した「杉作J太郎のバンド(?)」の楽曲“Jus'd Orange”(http://ro69.jp/blog/ogawa/86063)、あれtricotでしたね。シングル聴いた人はわかったと思うけど、カップリングに収録されている“Orange Juice”という楽曲でした。



いつネタバラシするんだろうと思ったら結構引っ張ったのでドキドキしていました。

それはともかく、『T H E』には古い曲も最近の曲も入っていて、だからそういう意味では最新型tricotというよりはこれまでのtricotを総括するような意味合いもあるのだが、古い曲だろうと今の曲だろうと、ガチっとひとつの方向に向いている感じがするのがすばらしい。ひとつの方向というのは、簡単にいえば「ポップ」――「ポピュラー」ということだ。入口をがばっと開けて、さあおいでと言っている感じがする。おいでって言ってるんだから、中に入ってみればいいと思う。楽しいぞ。

9月30日発売のJAPANで、メンバー全員へのアルバムインタビュー掲載します。ぜひチェックを。

あと、9月29日のJAPAN CIRCUIT「山崎死闘編」にも、tricot出演します。こちらもよろしく。
http://japancircuit.jp/

アルバム『T H E』、10月2日の発売まであと1ヶ月。震えて待て!
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