忘れらんねえよのニューアルバム、そしてバンドの未来について

忘れらんねえよのニューアルバム、そしてバンドの未来について

『空を見上げても空しかねえよ』、最初このタイトル見たときは柴田め一体何を言ってるんだと思った。空を見上げても空しかないなんて、そんな当たり前のことじゃんかと。

でも、音を聴いて、歌詞を読んで、違う、そうじゃないと思い直した。空を見上げても空しかない、はずなんだけど、その「空しかない」はずの空にいろんな夢やら妄想やら哀しみやら喜びやらを描いて、それで勝手に盛り上がったり泣き喚いたり押しつぶされそうになったりする、つまりもともと意味なんかないところに意味を見出してしまうのが人間というもので、それはわかるけど、でもまずは空なんかに意味求めないで、自分の中にあるものをちゃんと見つめてみようよ、というのがこのアルバムなのだ。

要するに、自分を信じること。「今」を信じること。自分の鳴らす音にすべてを込めること。忘れらんねえよは、このアルバムをそうやって作ったのだと思う。だから、このアルバムには彼らが今まで歌ってきたような情けない過去やしみったれた思い出や気持ちの悪い青春などは、ない。それをぶん投げて、「今」の地面を踏みしめて、「未来」に向かって突っ走るような、熱くて爽快なエモさに溢れている。やばい、なんだか頼もしいバンドみたいだ。

でも、なんか何度もこう言っている気がするけど、忘れらんねえよってもともとそういうバンドなんだよ。それが、変に考える癖のあるヴォーカルのおかげで、必要以上にヘタレキャラとか童貞キャラを押した結果、なんか色物バンドみたいに思われがちになってしまった。それはそれで、ここまでのバンドにとっては大事なことだったと思うけど、ここからは違う。というか、それもあるんだけど、それ以外のところもちゃんと見せられるバンドになった。シングル2枚で見つけた道が、完全に肉体化された感じがする。

どういうふうに頼もしいかは、9月30日発売号のJAPANのインタヴューを読んでください。あと写真、うちのデザイナーの大橋というのが撮ったんですけど、忘れにあるまじきかっこよさで撮れているので、そちらもお楽しみに。
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