ボブ・ディランとボウイ、そしてミック・ロンソン&チャーリー・セクストンをめぐるエピソード

ボブ・ディランとボウイ、そしてミック・ロンソン&チャーリー・セクストンをめぐるエピソード

ボブ・ディランとボウイ、そしてミック・ロンソン&チャーリー・セクストンをめぐるエピソード - (C)ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(C)ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
ディランとボウイは、アーティストとして表立っての関わりはなかったが、
初期のボウイがボブ・ディランに強い影響を受けていることはよく知られいてる。

「聞いてくれ ロバート・ジンママン、あなたの歌を書いたんだ
ディランと呼ばれる変わった若い男のことを
ざらついた砂とねばっこい糊のような声
真実のことばで 僕らを釘づけにした」
(デヴィッド・ボウイ〝ボブ・ディランに捧げる歌/Song For Bob Dylan〟より)

『ハンキー・ドリー』(1971年)に収録された〝ボブ・ディランに捧げる歌〟は、1966年のバイク事故以来隠遁していたディランに対する、ボウイらしい交代宣言という見方もできる。
ロバート・ジンママンとは言うまでもなく、ボブ・ディランの本名だ。

「聞いてくれ ロバート・ジンママン
僕らが会うことはないと思うけど
あんたの良き友、ディランに伝えてくれ
彼が昔のストリートを眺めていたら
僕らは彼の詩をなくしてしまったと
みんな壁に詩を書いている」


1966年に行われたボブ・ディランの伝説のツアーから50年、11月23日には豪華36枚組ボックス・セットがリリースされる。詳細はこちらhttp://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/info/473264
ボブ・ディランとボウイ、そしてミック・ロンソン&チャーリー・セクストンをめぐるエピソード
ボブ・ディランとボウイ、そしてミック・ロンソン&チャーリー・セクストンをめぐるエピソード - 『ライヴ 1966』Bob Dylan: The 1966 Live Recordings『ライヴ 1966』Bob Dylan: The 1966 Live Recordings

そして、ディランとボウイについて書いていて、まっさきに思い浮かぶのは、やはりミック・ロンソン。
1973年、ボウイの「ジギー・スターダスト」ツアーが終演した後、ディランの1975~76年のツアー「ローリング・サンダー・レビュー」のギタリストとして参加した。
ボブ・ディランから声がかかった時、ミックは彼の歌を2曲くらいしか知らなかったそう。
ツアーに参加したことで自分のプレイが開拓されどんどん良くなっているのを感じた、他のギタリストよりいいプレイをしたいと思うようになった、とインタヴューで語っている。

建国200年を記念し、アメリカのルーツを回りながらのこの旅は、各地で様々な国のミュージシャンが加わって、場合によっては一行の人数が100人くらいの大所帯になることもあったとか。その人たちがバラバラでなく、いつもツアーの間一緒に行動している、ということにミックは深く感動していた。
下記の映像にもちょっとだけ、トレードマークのきらっきらのブロンド・ヘアをなびかせるミックの姿が登場する。

ミック・ロンソンの遺作となったアルバム『ヘヴン・アンド・ハル』では、生前ミックが録音したギターにのせて、ボウイがディランの“ライク・ア・ローリング・ストーン”を歌っている。
故郷・ハルからシーンの最前線へミックを連れ出し、メイクや衣装など自分のイメージした世界観の中にどっぷり引き込んだボウイだが、この曲ではあくまでもミック・ロンソンのフィールドで、ミックらしいワイルドで温かい音の中で、ボウイが歌っている様子がとても貴重だ。
https://www.youtube.com/watch?v=a1VYocVF4yo&index=1&list=RDa1VYocVF4yo
ボブ・ディランとボウイ、そしてミック・ロンソン&チャーリー・セクストンをめぐるエピソード

そして、もうひとり。
1999年以降、ディランの片腕としてライヴで素晴らしいプレイを聴かせているチャーリー・セクストン。
16歳の頃からドン・ヘンリーやロン・ウッドと共演し、日本でも氷室京介と共演している彼は、現代で言えばジェイムス・ベイ的存在かも。
ボウイの1987年の「グラス・スパイダー・ツアー」では、〝ホワイト・ワイト/ホワイト・ヒート〟を共演している。
https://www.youtube.com/watch?v=yhHlExZnJn8

ボウイ追悼として〝ヒーローズ〟を歌っているのだが、それがなんともチャーリー・セクストンらしくてとてもよかった。

ボブ・ディランに声をかけられた時、チャーリーは息子が生まれるのに人生最大の金欠状態だった、という。

一昨年公開されたリチャード・リンクレイター監督の映画『6才のボクが、大人になるまで。』でも、出演時間は短いが、父親役イーサン・ホークの友人としてむちゃくちゃかっこいい存在感を放っていた。
少年から青年へ、主人公の12年間の成長を追い続けたリアルさが話題になった映画だが、そういう意味でも自身の人生とシンクロしていたのかもしれない。まだ観てない方はぜひ。(井上貴子)
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