ボウイ展のオフィシャルHPは世界巡回が終わるまで公開中。
そして年末12月20日には、“ヒーローズ”の音質の問題で発売が延期になっていた『ア・ニュー・キャリア・イン・ア・ニュー・タウン [1977-1982]』の日本盤が無事発売された。正月休みに楽しんだ人も多いことと思う。
ベルリン三部作を中心としたボックスだが、本作の聴きどころは、当時のスタジオの限界で、プロデューサーのトニー・ヴィスコンティもボウイ本人もずっと気になっていたという『ロジャー』のもこもこしたサウンドが、最新リミックスによって素晴らしく進化しているところ。
ヴィスコンティによると、ボウイは実際にサウンドを聴かないと納得しないと思ったので、数曲をリミックスして聴かせたところ本人も喜び、今回のリミックスに至ったのだという。しかしその後『★』の制作に入ったため、作業は中断し、ボウイも完成形は聴いていないのだそうだ。
ボックスにはヴィスコンティによるそんな膨大な解説が入っていて、『ロウ』や『ヒーローズ』の誕生秘話など、わくわくする。
また、BBCドラマでボウイが主役を演じたブレヒトの処女作『バール』の音楽も今回が初CD化。
ボウイ展では、ドラマで着用していたジャケットと椅子が展示されていた。
というボウイ自身の言葉は印象的だ。彼のロック観がよく表れているから。「バールは人生を一生懸命生きている。現在のロックンローラーだ」
この時期は度々お忍び来日していたこともあり、“クリスタル・ジャパン”(宝焼酎のCM用に書き下ろした名曲)など、日本と縁の深い曲も収録されている。
当時のベルリンでの生活を、ボウイ自身や当時の関係者が、とても詳しくリアルに語ったドキュメントがロッキング・オン12月号に掲載している。
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命日である10日から、パリを皮切りに、『ステージ』(ライヴのオリジナル曲順&未発表曲も収録でボックスに収録)にロバート・フリップに代わって参加したエイドリアン・ブリューやマイク・ガーソンなどによる追悼ツアーが開催される。
ツアーの公式サイト
『ア・ニュー・キャリア~』の先のボックス・シリーズは続くのだろうか?
今年もデヴィッド・ボウイの作品がリリースされることを祈りたい。(井上貴子)