デヴィッド・ボウイのARアプリ、まだ体験していない方のためへの一部ちら見せ画像シリーズ。
『★』のレコーディングを一緒に行ったサックスのダニー・マッキャスリン(そしてベースのティム・ルフェーブル、キ-ボードのジェイソン・リンドナーも)来日公演にちなんで、今回は『★』、そしてニューヨークのセクション。
個人的に印象的だったのは、ボウイ自身が1994年に描いたニューヨークの2枚のドローイングだ(上写真に左端に少しだけ見えています)
1994年といえば、イマンと結婚し、ティン・マシーンに一旦区切りをつけ、アルバム『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』をリリースした、その翌年。
チェンジズだらけのボウイにとってすら大きな転機であり、アーティストとしても4~5度目くらいの再出発の時期となる。『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』には、サックスが久しぶりに大フィーチャーされていた。
50歳のバースデー誕生日コンサートのために作成されたトニー・アウスラーの指人形は、その後の“リトル・ワンダー”や“ホエア・アー・ウィ・ナウ”のPVにも登場している。
人が通り過ぎる影のような照明演出が効果的で、ボウイの存在感を静かに感じさせるセクションだ。
『ダイアモンドの犬』のハンガー・シティの映画化へのスケッチや、“アッシュズ・トゥ・アッシュズ”のPVイメージとまったく同じように、カラフルなペンで彩られている。彼の頭の中は、いつも未来の創作へのイメージとエネルギーでいっぱいだったのだ。
日本展では展示されたなかったこれらの展示を観るためだけでも、このARアプリの価値はある。
ダニー・マッキャスリンは、ブルーノート・ライブで“ラザルス”も披露。
この曲のイントロでサックスが入ってくるあの瞬間は本当に鳥肌が立つ。ボウイが、レコーディング・メンバーと一緒にライブをやれなかったことは、本当に残念で仕方がないが、素晴らしい楽曲と精神が受け継がれていることはとても嬉しい。
公演によっては“ルック・バック・イン・アンガー”(『ロジャー』)も演奏された。(井上貴子)