「“セロトニン”がこれまでの曲と違うのは、表現が生々しいことで、私ですら、『ヤバイ、これってもしかして生々しすぎるかな?』って思ったくらいだった。
発表する前に、『自分の手を切り落とすって、生々しいよね?』って思ったから。
でも、失うものも何もないし、そのまま出したんだよね」
2017年に発表したセンスの良いドリーミーなDIYサウンドの“I Wanna Be Your Girlfriend”がNYタイムズ紙などから絶賛されたノルウェー出身のガール・イン・レッドことマリー・ウルヴェン。アメリカでもゴールドの売り上げを獲得したこの曲で、《友達になりたいんじゃない/あなたにキスしたい》と女の子への思いを鮮烈に綴った彼女は、即クィア・アイコンにもなった。
彼女が、今年満を持して発表したデビュー作が『イフ・アイ・クド・メイク・イット・ゴー・クワイエット』だ。フィニアスもプロデュースに参加し、飛躍的にポップなサウンドで彼女が歌うのは、「セロトニンの不足」により起きる自殺願望から、好きな女の子に恋焦がれる思いやセックスについてだ。
メンタル・ヘルスからジェンダー・アイデンティティなど今の若者にとって重要な問題を高揚感あるメロディで高らかに歌い、偏見の壁を突破してくれる彼女こそ、21世紀に必要なZ時代のアイコンなのだ。(中村明美)
ガール・イン・レッドの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。