ブルース・スプリングスティーン、黄金期のライブがここに ―― 79年のNY公演を収めた『ノー・ニュークス・コンサート1979』で“ロックンロール最高の瞬間”を堪能する

ブルース・スプリングスティーン、黄金期のライブがここに ―― 79年のNY公演を収めた『ノー・ニュークス・コンサート1979』で“ロックンロール最高の瞬間”を堪能する - rockin'on 2021年12月号 中面rockin'on 2021年12月号 中面

ブルース・スプリングスティーン初来日は1985年4月のこと。代々木オリンピック・プールで観たそれは熱のこもった素晴らしいライブだったのだが、正直言って、一番観たかったのはもう少し前のブルース・ライブで、それがここにある。レストア、リミックスで恐ろしいまでに迫力の上がった79年9月21、22日NYはマディソン・スクエア・ガーデン公演を収めた『ノー・ニュークス・コンサート1979』の完全版ライブ発売決定の報に接していると、改めてそんな思いが湧き上がるし、広告コピーの「全盛期の史上最高峰のライブ・パフォーマンス」との言葉にまったく同感だ。

本作品の時期は異常なテンションでステージをやり続けていた頃だが、その中でもこれはジャクソン・ブラウン等が中心となって原子力の危険性を訴え反核を掲げて活動していたミュージシャンたちの団体「MUSE」(ミュージシャンズ・ユナイテッド・フォー・セーフ・エネルギー)のためのベネフィット・コンサートなのだから気合いが数段階上がるのも当然で、1曲目の“暗闇へ突走れ”から飛ばしまくり、“バッドランド”で一気にピークに達すること必至。

普段は3時間以上のパフォーマンスなのが90分に凝縮されてるのだから濃密この上なく、『ザ・リバー』のレコーディング中だっただけに未発表であった“ザ・リバー”や“愛しのシェリー”をプレイしたり、名曲たちが次々とぶちまけられるのだが、とくに“ロザリータ”からの“明日なき暴走”は圧巻。

更に続くジャクソン・ブラウンやトム・ペティを迎えてのカバー大会、“ステイ”(モーリス・ウィリアムス! )、“デトロイト・メドレー”(ミッチ・ライダー!!)、そして「俺はロックンロールの囚人だ」と叫ぶ“クォーター・トゥ・スリー”(ゲイリー・U.S.ボンズ!!!)と続くセットリストは悶絶もので、おそらくこの時期の彼を超えるパフォーマーは出てこないだろうし、元気なクラレンス・クレモンズ、シャープなマイアミ・スティーヴ、そしてEストリート・バンドも完璧ときて観どころ聴きどころだらけだ。今回のレストア、リマスターでまさに歴史的な一作となった。 (大鷹俊一)



ブルース・スプリングスティーンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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