ロックが復活してバンドが復権している。数年前から、イギリスのサウス・ロンドン・シーンなどの新世代ポスト・パンク・バンドを指してそう言われたりもしていたが、もうそれとは違う次元で、新しい世代のドラスティックでワールドワイドな動きとしてロック復活・バンドの復権は起きている。
ここに取り上げた12アーティストの音を聴いてもらえれば、たたずまいを見てもらえれば、この10数年以上なかったような、ストレートで解放的なロック感、バンド感を明らかに感じ取ってもらえるのではないだろうか。
ザ・リンダ・リンダズもウェット・レッグもターンスタイルもギースもドライ・クリーニングも、ヒップホップとR&Bがメインストリームを埋めつくし、インディ・フォーク/SSWが脇を陣取って、バンドが行き場を失っていた10年代には出て来なかったニュータイプだ。ここにきてパラダイム・シフトが起きている。
彼らはロック、ロック・バンドの固定概念や特権性がすでに解体された場所でロックをやり、バンドをやっている。だからまったく新しく成立している。逆に言えば、アークティック・モンキーズやアーケイド・ファイア以降バンドがフェードアウトした00年代後半から10年代の十数年間に、ロック、バンドという表現スタイルは完膚なきまで相対化され、その特権性が解体されてしまったのだ。
そのリセットされた地平に立っているからこそ、新世代のロック、新世代のバンドにはロックに対する依存もなければ迷いもない。その健全さがまぶしくて、素晴らしい。 (山崎洋一郎)
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