ついに「いつもの夏」が戻ってくる! 次々と発表される世界中の夏フェスのラインナップをチェックしていると、その確信がいよいよ深まってくる。目指すべきはニューノーマルではなくニアノーマル、私たちが3年前まで当たり前としてきた毎夏の興奮を、今年こそほぼ完璧なかたちで取り戻すのだという強い意志が、各フェスの超意欲的なラインナップに刻まれているからだ。
中でもとりわけラインナップが「凄すぎる!」と話題を呼んでいるのが英グラストンベリー・フェスティバルだ。2020年、2021年と2年続けて開催中止とパンデミックで大きな痛手を受けつつも、この老舗フェスはしぶとく、したたかに、最強の布陣でカムバックを果たそうとしている。何しろヘッドライナーのメンツがとんでもないのだ。
昨年真っ先に発表になったのがビリー・アイリッシュ。ソロアーティストとしては史上最年少ヘッドライナーで、2020年代初グラストンベリーの初日を飾るに相応しいアイコニックなブッキングだと思う。2人目はニューアルバムへの期待も含め、今最も渇望されているケンドリック・ラマー! 米国最大級のイベント=スーパーボウルのハーフタイムショー出演に続いて英国最大のフェスを選ぶあたりに、ケンドリックの2022年にかける意気込みと仕上がりっぷりをひしひしと感じる。
そして自国が誇るレジェンドとして登場するのがポール・マッカートニー。6月に80歳になるサー・ポールと20歳のビリーが並び立つ様は何よりグラストンベリーらしいし、オリヴィア・ロドリゴとダイアナ・ロスやロバート・プラントの振れ幅も最高だ。世代を超え、国を超え、ジャンルを超えて才能がひしめき合う場所こそを私たちはこの2年間ずっと求めていたのだと、改めて痛感させられる。
今年のグラストンベリーはロック勢も質・量共に近年稀に見る充実で、これもまたフェスが時代を映す鏡である証左だ。ノエル・ギャラガーやプライマル・スクリームら大御所からウルフ・アリス、フォールズ、フォンテインズD.C.、インヘイラー、ドライ・クリーニング……とにかく全く書ききれないくらい出演するのでぜひチェックを! (粉川しの)
グラストンベリー・フェスティバルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。