ブルース・スプリングスティーン、デビューから半世紀! ロックンロール道をかけ抜けてきたボスの最新ベスト盤が発売

rockin'on 2023年11月号 中面

ブルース・スプリングスティーン、デビュー50周年と聞くと驚く。<ロックンロールの未来を見た>と評論家に激賛され、それがホラでも妄想でもないことを証明したのがシングル、アルバム共に大ヒットとなった『明日なき暴走』で、そこから始まる爆走ライブを伴う精力的な活動は常にトップアーティストの座にあった。

今回、その活動への最大のリスペクトとして持ち上がったとてつもない日本独自企画にボスの許可がおりた。10月25日に出る最新ベストアルバム『ジャパニーズ・シングル・コレクションーグレイテスト・ヒッツー』(4枚組:2CD+2DVD)だ。

2CDには75年~ 99年に日本でリリースされた全シングル曲が発売順に最新デジタルリマスター音源で収録されるが、“明日なき暴走”に始まり“ファイア”で締めくくられるディスク1がやっぱり個人的なツボ。しかも今回のリマスター音源、とにかく音がめちゃくちゃ良く、唸るクラレンスのサックスやマイアミ・スティーヴのギターには今でも熱くさせられるし、いっぽう『トンネル・オブ・ラヴ』の“ブリリアント・ディスガイズ”で始まるディスク2は落ち着いた歌声が聴き所。

さらに嬉しいのがこれまでに発表した全MV62曲を完全網羅した2DVDで、ディスク3は、来日など考えられない時代にライブへの思いを馳せた“ロザリータ”(最近の落ち着いたボスしか思い浮かばない人にこそぜひ観てほしい)で始まり“明日なき暴走”を挟み“凍てついた十番街”“涙のサンダー・ロード”など初期ライブのおいしいところがたっぷり観られる。あまり作り込むような映像も初期は好きでなかったのだろう、基本的にライブやそれに準じた映像でまとめられている。また映画『フィラデルフィア』のテーマ曲“ストリーツ・オブ・フィラデルフィア”で始まり、現時点で最新シングル“ターン・バック・ザ・ハンズ・オブ・タイム”までのディスク2は世界初DVD化が22曲も含まれ海外のファンにも注目されそう。

最近ではすっかり大御所感ばかりが先立つのはキャリアと実績からすれば仕方のないことだが、こうして最初期の尖りまくった姿を見ると本当にすごい人だと改めて思わされる好企画だ。 (大鷹俊一)



ブルース・スプリングスティーンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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