アイドルズ ―― 新作リリースを発表した彼らの激レアなシークレットライブを目撃!

アイドルズ ―― 新作リリースを発表した彼らの激レアなシークレットライブを目撃! - rockin'on 2023年12月号 中面rockin'on 2023年12月号 中面

10月17日に東ロンドンでライブをおこなったTANGKなるバンド――その正体は、フジロック’23でも大評判だった怒濤のカタルシスパンクス=アイドルズ。5千人級のロンドン会場を4晩完売したこともある彼らだけに、キャパ700の会場でのこの匿名ギグは激レアだ。ファンコミュニティ「AF Gang」経由でこのライブを知ったという女性客は、なんとこの日スウェーデン(!)から馳せ参じたと話してくれた。

それだけ熱狂的な献身が集まるのも納得の、骨の随まで揺さぶられるライブだった。3曲目で早くもモッシュ開始となった“Mr. Motivator”や大合唱を巻き起こす名曲“Mother”を筆頭に、爆走機関車ビートとゴジラなシャウトがのっけから全開。過去2年、世界各地をツアーしてきただけにセットは鉄板で、“Divide & Conquer”のレイジ並みな重さ、洞窟を思わせる会場にポストパンク直系のギターがエピックにこだました“A Hymn”、クラウドサーフが始まった人気曲“Never Fight ~”と、ゆるみゼロの演奏を畳み掛ける。

“I’m Scum”で会場中が叫んだ「fuck the king!(王様なんざクソ食らえ)」のコール。「この国を素晴らしいものにしてくれた、移民のみんなを祝福します」の泣けるMCに続いた“Danny Nedelko”。保守退行と分断という無情なレトリックが横行する時代に、それでも団結を訴え、そのパワーを信じるアイドルズは希望の灯りだ。

目玉は初披露された新曲“Gratitude”と“Dancer”で、いずれもビート/グルーヴを重視したトラックだった。ライブの翌日、新作『TANGK』の告知と共に、LCDサウンドシステムのジェームス・マーフィーらがコーラスで参加した“Dancer”のPV公開。硬質ながらバウンシーなビートとクセになるサビもご機嫌なこのトラックは新境地で、共同プロデュースに御大ナイジェル・ゴッドリッチおよび盟友ケニー・ビーツを迎えた『TANGK』は前作から始まった拡張指向の総決算になりそう。

アイドルズは、決して華やかでも、トレンディでも、器用でもない――「清く正しくみっともなく」コマを進めてきたバンドだ。だが、「LOVE」と「CARE」を旗頭に、彼らは新たな進軍を始めようとしている。2月16日に響き渡る、その鬨の声を聞き逃すなかれ! (坂本麻里子)



アイドルズの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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