ロッキング・オン1月号「洋楽アルバムランキング2023」――選出作品:ザ・ローリング・ストーンズ『ハックニー・ダイアモンズ』はどんなアルバム?


現在発売中のロッキング・オン1月号は、1年を締めくくる2023年洋楽ベストアルバム特集! アルバムだけでなく、リイシュー作品、来日公演、イベント、洋楽ライター陣による座談会、そしてジャンルを細分化したシーン別の徹底考察で、今年の洋楽シーンを徹底的に読み解きます。

今回は、選出作品の一部をご紹介!



【No.3】
ザ・ローリング・ストーンズ『ハックニー・ダイアモンズ』


驚異の傑作である。オリジナルアルバムとしては18年ぶりの新作になるが、現存メンバーが76歳(ロニー・ウッド)、79歳(キース・リチャ―ズ)、80歳(ミック・ジャガ―)というバンドがここまで瑞々しいロックを鳴らせるのかと、心から驚かされた。端的にいってこのアルバムは『女たち』、『エモーショナル・レスキュー』、『刺青の男』と続く、78年から81年にかけてのザ・ローリング・ストーンズの直近の最盛期のサウンドに匹敵する音になっているところが最もすごいところだ。

例えば、リードシングルとなった〝アングリー〟はもろに〝スタート・ミー・アップ〟を彷彿とさせる強力過ぎるストーンズアンセムだし、2曲目の〝ゲット・クロース〟のゴツいロックリフはまさに〝奴隷〟を思わせるもので、初めて聴いた時からたまらないことこの上ない。さらにカントリーがかった曲やバラードは『女たち』の懐の深さを思わせるものだし、ポール・マッカートニーも参加するパンキッシュなロックナンバーや、チャーリー・ワッツと制作していたロックンロール曲などは、『女たち』や『エモーショナル・レスキュー』の切れを思わせる音になっていて、ずっと聴きたかったストーンズの音が見事に揃った内容になっているのだ。

では、このアルバムが83年の『アンダーカヴァー』以降の作品とどうしてここまで違う性格の内容になったのか。それはバンドが10年代に入ってそこまで追い込まれていたからだ。ストーンズは窮地に追い込まれた時に、むきだしのロックの名作を叩き出してくるところがあって、そうした窮地は例えば、ブライアン・ジョーンズの脱退やマネジメントの背信、バンドの破産危機とメンバーの海外流民化、キースの投獄の可能性やミックとキースの確執などに代表される。そして、今回はおそらく、(続きは、ロッキング・オン1月号にて)



「2022年の洋楽ベストアルバム」特集の記事は現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


rockin'on 編集部日記の最新記事