ペギー・グー:デビュー作『アイ・ヒア・ユー』は彼女の小宇宙の集大成 ―― フジロック出演直前、俊英の才能に迫る!

ペギー・グー:デビュー作『アイ・ヒア・ユー』は彼女の小宇宙の集大成 ―― フジロック出演直前、俊英の才能に迫る! - rockin'on 2024年7月号 中面rockin'on 2024年7月号 中面

現在発売中のロッキング・オン7月号では、ペギー・グーのデビュー作を徹底検証しています。
以下、本記事の冒頭部分より。



文=小池宏和

今夏フジロックへの出演(2018年に続き2度目)も決定している韓国出身DJ/プロデューサーのペギー・グーが、〈XL Recordings〉より待望のデビューアルバム『アイ・ヒア・ユー』を6月7日にリリースする。学生時代にはロンドンでファッションを学びながらDJとしても活動していたペギーだが、ミュージシャンとして意欲が高まるにつれてベルリンへと渡り、本格的にテクノ/ハウスミュージックの表現に磨きをかけていった。

2010年代中盤からは〈Rekids〉や〈Ninja Tune〉、〈!K7〉といったエレクトロニック系レーベルを通じて作品リリースを展開、知名度を高めるにつれて世界各地での有名イベントやフェス出演の機会が増えてゆく。DJ/プロデューサーとしてのペギー・グーはそんな経歴からも窺えるように、何より質実剛健なDJプレイと楽曲プロダクションにおいて信頼を獲得しているアーティストだ。

一方、ファッションモデルとしても活躍したり自身のブランドを運営したりするペギーは、『VOGUE』誌や『GQ』誌のカバーに何度も抜擢されているほどのカルチャーアイコンでもある。ここで重要なのは、セレブが片手間に音楽活動をしているようなケースとはまったく異なり、ペギーがエレクトロニックダンスミュージックの優れた担い手であるのと並行して、ファッションやアートにも深く精通し各方面から一目置かれる存在であるということだ。

ナイトクラブのダンスフロアから大規模フェスの巨大ステージまで自由奔放に活躍の場を増やし、メインストリームもアンダーグラウンドも関係ない、と言わんばかりにしなやかな自我を貫いて己の進むべき道を開拓してゆく。硬派な求道者であり、同時に華やかなポップカルチャーの成功者でもあるというペギーは、結果的にその清々しいまでの生き様において、大きな支持を得てきた現代的な表現者と言えるかもしれない。

昨年に現地で観たULTRA JAPAN 2023や、今春に配信で観たコーチェラでのペギー・グーのパフォーマンスは、マイクを握って語りかけるような場面は必要最小限。ただしオーディエンスの反応を逐一窺い、的確なDJミックスで抑揚をコントロールしてみせる手腕は溜め息が漏れるほどであった。アルバムデビュー前にも拘らず、いずれも大型の屋外ステージへの出演であったが、しかしそんなプレッシャーをものともせずに己の美意識を貫徹したパフォーマンスを繰り広げてみせる。(以下、本誌記事へ続く)



ペギー・グーの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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