日本経済新聞(元旦)掲載

平成の「ベスト5」

①SWEET 19 BLUES(安室奈美恵、1996年)
②AIR JAM '97(お台場レインボーステージ、97年)
③First Love(宇多田ヒカル、99年)
④jupiter(BUMP OF CHICKEN、00年)
⑤YANKEE(米津玄師、14年)


平成という時代と共振しながら音楽シーンをリードしたアーティストと事象という基準で選んだ。順位は古い年代順に並べている。長く平成に影響を与え続けたという理由でそうした。

安室奈美恵は、従来とは違う自我と存在感を獲得したアイドルの先駆者。彼女の存在は平成のアイドルのロールモデルになったと思う。
AIR JAMはパンクバンドのHi-STANDARDが主催するロックフェスティバル。表現だけでなく、ビジネスのあらゆる局面をミュージシャンがコントロールし、それが成功して影響力を持つという平成の大きな変化の先駆けになった。
宇多田ヒカルの登場は衝撃的であった。日本人のポップミュージックのDNAが変わったと思った。表現者としての宇多田の革命性は無論のこと、彼女の洋楽的な作品が熱狂的に支持されたことで、聴き手としての日本人のポップミュージックDNAの変化を強く感じた。
BUMP OF CHICKENの影響下にある平成デビューのアーティストは多い。ロックは強さを主張する音楽ではなく、むしろ弱さを肯定する強さを持った音楽だというメッセージは、多くの共感を得た。
米津玄師は日本のポップミュージックが独自のスタイルとオリジナリティーを獲得した象徴的な存在といえる。ボーカロイドとアニメソングが生み出した巨大な音楽文化の蓄積が背景にある。

(2019年1月1日 日本経済新聞掲載)
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