チープ・トリックという奇跡

チープ・トリックという奇跡

チープ・トリックの新作がとてもいい。デビューして30年以上、全米1位になった事もあるがキャリアのほとんどは華やかなスポット・ライトとは距離のあるものだった。最近はメジャー・レーベルとの契約はなく、地味な活動が続いている。しかしオリジナル・メンバーで今も活動し、一度もシーンから逃げる事なく、たとえ前座であろうともライブを続けている。そしてアルバムを高い志を持って作り続けている。その新作がまるでデビュー作のようなエネルギーと瑞々しさに溢れている傑作なのだ。本当に奇跡のようなバンドだ。
どうしてそんな事が可能なのだろうか。余り気の効いた分析とは言えないが、彼らは音楽を信じ、演奏する事を楽しんでいるからだろう。そして自分たちの才能を信じている。この新作から伝わって来るのは「どうだ!凄いだろう」という彼らの誇らしげなエネルギーだ。素晴らしいと思う。僕もこうやって本や、いろいろなものを作っていきたい。今週金曜のワールド・ロック・ナウで取り上げるので聞いて欲しい。何かリック・ニールセンに背中を押された気がした。
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