『SIGHT』で「青春のJ盤アワー」を連載いただいている泉麻人さんの、昨年暮れに出た最新刊がこちら。「スタンプマガジン」誌で2009年4月～11年3月に連載していた「イズミ少年の切手日記」に加筆したものですが、切手コレクションがブームとなった60年代に少年時代を過ごした泉さん世代ならではの一冊。

コレクションといえば自慢となるのはレアものですが、「モノ」に留まらず入手するための苦心談まで含めて価値があるという意味で、趣味道というものは良い意味でいつの時代も変わらないものなのだな、ということを軽妙な文体ゆえにすんなりと納得させられます。

後半は、同世代にして同じく切手趣味にいそしんでいたというみうらじゅんとの対談。同じ切手趣味といいつつ目線は全然別モノながら、そこはさすがの両者。本道 / 邪道の枠を超えた愛のある、しかも意表を突いたツッコミ合戦で笑わせます。
（小池清彦）