バンプ・オブ・チキンの取材をして感じたこと。について書きました(JAPAN誌コラム『激刊!山崎』より)

バンプ・オブ・チキンの取材をして感じたこと。について書きました(JAPAN誌コラム『激刊!山崎』より)

いつ頃からだろう?
 『COSMONAUT』の前あたりかな。
ということは2009年とか2010年ぐらいになるのかな。
たしかシングル『R.I.P./Merry Christmas』をリリースした時のインタヴューぐらいからだったと思うんだ。
 
その頃から、僕はバンプのメンバーから曲ができ上がる経緯の一部始終のこまごましたお話を聞くのが大好きになった。

 もちろんそれ以前からも好きではあったけども、でも、どちらかというと僕はプリプロやアレンジやレコーディングのこまごました一部始終の話をきくよりも、
「この曲に込められた意味は?」とか、
「どんなことがきっかけになってどんな気持ちでこの曲を書いたの?」とか、
「この歌詞の意味は?」とか、そんなことをとにかくずばっと訊きたくて、
 藤原やメンバーの困った顔も意に介さず、ひたすら自分の訊きたい質問をメンバーに浴びせて、その「答え」を求めるインタヴューをその頃は繰り返していたと思う。

 でも最近では、藤原やメンバーが一生懸命に楽しそうに話す、こまごましたレコーディングの経緯や出来事の、そのまさにこまごましたやり取りの中にこそ、その曲やアルバムの本当の「答え」があるんだということが僕にはわかってきた。
そしてそれは、藤原の曲ができてくるペースが速くなって、創作活動が順調になってきた時期と重なるような気がしている。

 今月号のインタヴューでも、メンバーはたっぷりと丁寧に曲が生まれてくる経緯を話してくれている。
一生懸命思い出しながら、真剣にメンバー同士で確認を取り合いながら話す様子を読者のみんなにも見せてあげたい。
本当に楽しそうに、一生懸命に話すんだ。


 話を聞きながら、時々、
「農家の人に採れた野菜の話をきいてるみたいだな」
と思う時がある。
「町工場の職人さんに出来上がった部品について話してもらってるみたいだな」と思うことがある。
 バンプの音楽が野菜や機械の部品のようなものだと言いたいわけではもちろんなくて、
すごくピュアなインタヴューになっているのを感じるのだ。

 その曲が何であるのかを作った本人に分析してもらうよりも、
その曲をどう育てて、そのためにどんな努力を重ねたのかを語ってもらうほうが、その曲の本質や意義は伝わってくる。
バンプのインタヴューはどんどんそういうものになってきているし、バンプの作品のあり方もどんどんそういうものになってきている。
 思いが込もった曲を書きたい、その曲をより良いものにアレンジして演奏したい、そして曲が集まったらより良いアルバムを作りたい。
そういう目の前の努力の積み重ねとしての作品。
 答えや意図があって、そこに向かって何かを作っているわけではないから、インタヴューで答えや意図をきかれても、そこには明確に言葉になるようなものはきっとないのだろう。
「なぜこれはトマトなのですか?」と訊かれても農家の人は答えようがないだろう。
でも「どうやってこのトマトを育てたんですか?」と訊けば、いくらでも答えてくれるだろう。
そしてその言葉の中に、そのトマトの味と栄養のすべての秘密が実は語られているのである。
 
 バンプの今作『Butterflies』は特にそういう性格が強いアルバムだ。
数々の初の挑戦を経験しながら、そして数々のコラボレーションに取り組みながら、メンバー全員での日々のクリエイティヴによって出来上がったアルバム。
風通しがよく軽やかな作品だが、バンプ史上最もタフなアルバムになったと思う。

(ロッキング・オンJAPAN連載コラム『激刊!山崎』より転載)
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