「Download Japan 2019」開催迫る! 巨大化の一途を辿るゴーストの“今”を見逃すな!


いよいよこの3月21日に日本での初開催を迎える「Download Japan 2019」。ヘッドライナーに予定されていたオジー・オズボーンが療養を要する状態にあるため出演を急遽キャンセルせざるを得なくなるという波乱には見舞われたものの、その代役を買って出るかのように昨年11月に来日公演を行なったジューダス・プリーストが早くも帰還を果たす。

また、最後のワールド・ツアーを実施中のスレイヤーのステージを日本で観られる貴重な機会であることなど、見どころはたくさんあるが、ここで改めて注目したいのがゴーストの存在だろう。


去る2月21日、最終的な出演ラインナップ確定に伴いジューダス・プリーストとともにこのフェスへの参加が発表となったゴースト。彼らの日本上陸は二度目で、「SUMMER SONIC 2014」への出演時以来、実に約4年7ヵ月ぶりとなる。何故こんなにも長く待たなければならなくなったかといえば、確かに裁判沙汰のお家騒動などもあるにはあったが、基本的にはこのバンドがとてつもなく大きな存在になったからだといえる。

彼らの現時点での最新オリジナル・アルバムは、2018年6月にリリースされた『プレクウェル』。暗黒時代をテーマとしたこの作品は、全米アルバム・チャートにて3位を記録。バンドの中枢たるトビアス・フォージはそもそもスウェーデン出身だが、その母国やノルウェー、フィンランドでは首位を獲得しており、UKチャートでもトップ10入りを果たしている。また、バンドは2016年にもグラミー賞受賞歴があるが、この最新作も最優秀ロック・アルバムに、また、シングル・カットされた“Rats”は最優秀ロック・ソング賞にノミネートされている(惜しくも栄冠は逸しているのだが)。


ゴーストが今現在の音楽シーンにおいてもっとも影響力のあるメタル・バンドのひとつとして認識されていることは疑う余地もなく、英国のMetal Hammer誌は最新号の表紙で彼らを採り上げ、しかも二種類の表紙で発行しているほどの力の入れようだ。

このバンドに関して興味深いことのひとつに、公演終了後の撤収だけでも約4時間かかるという大掛かりなステージ・セットを用いた儀式的エンターテインメントともいうべきライブ・パフォーマンスで人気を博している彼らが、グラミー賞云々といった事実関係からも察することができるように、いわゆる専門家筋からも高い評価を獲得している点がある。つまり、往年のキッスのような(キッズ向けのバンド)といった側面と、音楽的に掘り下げがいのある奥行き深さとを、同時に持ち合わせているのだ。


その音楽性自体についても、70年代の古典的ハード・ロックの匂いや80年代メタルの整合性を併せ持つのみならず、メタルの範疇のみでは語りきれない多様性が感じられる。それはデペッシュ・モードからユーリズミックスレナード・コーエンペット・ショップ・ボーイズに至るまでの、これまでの彼らのカバー歴からも実感させられる点だ。


そんな彼らの最新作『プレクウェル』は残念ながら現在に至るまで、いわゆる日本盤という形ではリリースされていない。とはいえ同作からの楽曲がどれほど日本のファンに浸透しているかは「Download Japan 2019」の場でも明らかになるはずだし、公演翌日に東京のタワーレコード渋谷店で開催されるサイン&撮影会の整理券がすぐさま無くなったという話も伝わってきている。

なお、バンドはこの5月からはメタリカの欧州ツアーにスペシャル・ゲストとして同行し、全25公演に出演することになっている。そうした形でのスタジアム・ツアーのさなかにも、日程の合間に北米に飛び、5月17日にはコロンバスでの「ソニック・テンプル」、同18日には「シカゴ・オープン・エア」でシステム・オブ・ア・ダウンらと共演予定だ。これから先、まだまだ大きくなっていくことが確実視されるゴースト。そんな彼らの今現在の姿を、是非この機会に目撃して欲しい。(増田勇一)

「Download Japan 2019」の詳細は以下。

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