20年選手、キルスウィッチ・エンゲイジ。痛みと苦悩を乗り越え、力強く進化した3年半ぶりの新作を聴き逃すな!

20年選手、キルスウィッチ・エンゲイジ。痛みと苦悩を乗り越え、力強く進化した3年半ぶりの新作を聴き逃すな!

キルスウィッチ・エンゲイジの新作が強烈だ。通算8作目となるこのアルバムは『アトーンメント』と命名され、欧米では8月16日、日本では8月21日に発売を迎える。

2012年に電撃復帰を果たした初代フロントマン、ジェシー・リーチにとっては復帰後第3弾ということになる今作だが、そのジェシーは前作『インカーネイト』からの3年半の間に、長年連れ添ってきた妻との離別、神経衰弱状態、さらには喉のポリープ除去手術を経ている。もちろん現在の彼は精神的、肉体的なダメージからも回復した状態にあるが、この局面で改めてボーカル・セラピーやスピーチ・セラピーなど受けながら、有効な声の使い方、スクリームの仕方といったものを体得してきたのだという。結果、ただでさえ強力だったそのボーカル・パフォーマンスにはさらに磨きがかかり、根本的なところでの音楽的方向転換などはみられないものの、『アトーンメント』は従来作を上回る説得力を感じさせる作品に仕上がっている。

加えて今作には、ジェシー不在の時代にフロントマンを務めていたハワード・ジョーンズ(ちなみに彼の脱退は、糖尿病治療専念のためだった)がゲスト参加しており、“ザ・シグナル・ファイア”では画期的なボーカル・バトルが繰り広げられている。同様に、テスタメントのボーカリスト、チャック・ビリーが“ザ・クラウンレス・キング”にフィーチャーされている事実も見逃せない。

すでに“アンリーシュト”、“アイ・アム・ブロークン・トゥー”の2曲が先行シングルとして配信されているが、ジェシーはその“アンリーシュト”について「内に秘めた情熱と怒りが表面化してくることついて歌っている。誰もがそうした野性的な一面を持っているものだが、何かしらの痛ましい出来事が引き金になって覚醒するまでは潜伏しているものだ。そうしたものが覚醒することについての歌なんだ」と説明しており、このアルバム自体についても「俺たちが経てきた道程や苦しみのなかにあった粘り強さや情熱が投影されたものになっている」と語っている。


メタリカやマストドンなどのアートワークを手掛けてきたリッチー・ベケットの手によるアルバム・カバーも目を引くこのアルバムには、インパクトの強さももちろんだが、それ以上に奥深さとベテランならではの凄みを感じさせる。2000年のデビュー以来、メタルコアの代名詞的存在でもあった彼らだが、今作はバンドが次の次元へと進むうえでの分岐点となるのかもしれない。(増田勇一)
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