すさまじい夏の暑さと晴天に迎えられたサマーソニック2日目は、まさにこの酷暑に対抗するべく、ひたすらロックで燃え上がり、この夏を乗り越えていくラインナップとなっていた。ヘッドライナーとしてマリン・ステージに登場したレッド・ホット・チリ・ペッパーズは16年のフジロック以来3年ぶりの来日、サマーソニックには8年ぶりの出演となる。その圧倒的な力量とパフォーマンスで、明らかにロックの祭典というテーマに貫かれたこの2日目のサマーソニックを見事に締め括ることになった。
新作制作中だとも伝えられるレッド・ホット・チリ・ペッパーズだが、セットは16年の『ザ・ゲッタウェイ』を軸にしたもので、このアルバムの叙情性を打ち出しながらも、バンドのダイナミックな魅力やバランスを取った見事な内容で素晴らしいものだった。16年のフジロックでの出演では『ザ・ゲッタウェイ』の感傷性に偏り過ぎたところもあったかもしれなかったが、今回はロックに君臨するバンドとして、見事にその力量をみせつけることになった。
そんなレッチリを前に出演したRADWIMPSも、まさにマリン・ステージが待ち望んでいた出番で、どこまでもポップな“NEVER EVER ENDER”をまずは歌い上げてみせると、そこから一転してハード・プログレとしか形容しようのない“ギミギミック”を叩きつけ、バンドの技量を堪能させる展開が痛快。その後も“アイアンバイブル”、“洗脳”など聴かせる曲と、“おしゃかしゃま”、“DARMA GRAND PRIX”など圧倒的なパフォーマンスと楽曲を織り交ぜていくという、必殺のライブ・シークエンスで駆け抜けていった。そして最後は“いいんですか?”から“愛にできることはまだあるかい”で締めるという、実に感動的な展開で見事に会場を盛り上げまくってみせた。
個人的に今回驚いたのがタッシュ・サルタナ。さまざまなエフェクターやキーボードを操りつつ、ディレイ・エフェクターですべてをループ化し、ひとりでアンサンブルを作ってしまうライブは、言ってみればエド・シーランと同様のライブ・アプローチ。しかし、本人がストラトキャスターを肩に下げているところがまさにエドとの最大の違いで、要するに彼女はただひたすらに自分のイメージ通りの音を鳴らしたいという衝動をライブとして追求し、それがどこまでも刺激的なステージとなっていたのだ。こういう音をレコーディングとして追求するのはよくわかるが、ライブとして追求する彼女の姿はとてもかっこよかった。
また、感動してしまったのがロバート・グラスパーで、長く組んできているドラムのクリス・デイヴとベースのデリック・ホッジとのトリオをベースにしたユニットとして出演。ボーカルにはヤシーン・ベイことモス・デフを据えており、あまりにもフェス向きなパフォーマンスとなっていたところが素晴らしすぎた。ロバート、クリス、デリックがジャズからソウルへと流動的に変化していくパフォーマンスを自在に展開していく中で、ヤシーンはレゲエ歌唱的なボーカルもMCと一緒に披露していく。どこまでも自由でありながら、しかし、バンドとしてのハーモニーを生み出す演奏になっていて、個人的にはヤシーンのそんな姿にとても感銘を受けた。
また、レコーディングでは、かなりコンテンポラリーなサウンドでロックを鳴らしているエレクトリック・ピラミッドが、ステージではかなり古典的なハード・ロックとなっていたところがおもしろかった。喉の調子が今ひとつよくなかったようで残念だったが、あらゆる古典的なロック・スタイルがセットの中で紹介される面白い内容で、今後が楽しみなところだ。(高見展)
【サマソニ総復習・1日目】は以下。
【サマソニ総復習・3日目】は以下。