9枚目の新作『The Ballad of Darren』のリリースを発表したブラー、その翌日5月19日に行われた記者会見@コルチェスター城に行ってきました。コルチェスター城のミュージアム展示場をくぐり抜け、奥のスペースにメンバーと本日の司会者、音楽ジャーナリストのキム・テイラー・ベネットが登壇。約40分間にわたる質疑応答が行われました。
新アルバムに関する大まかな質問が司会者のキムからなされた後、質疑は海外プレスからということで、私も日本を代表して質問を用意していきました。が!何故かキムが「日本からはるばるやって来たジャーナリストからの質問です」と私を紹介したため、メンバーから「オオー!ジャパン!遠いところから!」「日本からは必ず誰か来てくれるよね!」と感嘆の声が。
無駄に喜ばせてしまっては悪いと思ったので、「いや、ロンドンからです」と正直に言ってしまい、なんだよ~!とメンバーがズッコケるというハプニングも。会場にもウケて、笑いの渦に包まれ、日本に関する彼ららしいコメントももらえました。
本誌に入りきらなかった新作アルバムのアートワークについて。
こちらは、イギリスの写真家マーティン・パーがスコットランドのグーロック・ライドで2004年に撮影したもの。
グレアムは「このイメージには、ある種の物理的な状況を克服することの意味が含まれているんだ。このライド(lide、プール)の安全性に関してなんだけど、すごく心配になるほど荒れることもあるんだよ。事実、とある男性がここで泳いでいたら、海からサメが流れ込んできたという話もあるんだ」と説明。
これは、このアルバムジャケットの被写体となった男性、イアン・ガルト氏が以前ガーディアン紙に語った本当の話。ガルト氏によると「あの頃のプールは潮の満ち引きが激しくて、嵐の時には波が横からクラッシュしてくることもありました。ある老人は、泳いでいる彼のすぐそばにウバザメが流れ込んできたことがあると言っていました」なのだそうだ。
デイヴは、「このガルト氏のインタビューに僕たちは皆、感銘を受けたんだ」と述べた上で、「海からライドに打ち寄せる波。そこには何か直感的なものがある」と続ける。
「そして、背景の山は、深海から現れた巨大な原子力潜水艦のように見えるよね。このプールは実際スコットランドの西海岸にある潜水艦基地のすぐ隣にあるんだ」とデーモン。すかさずグレアムが「彼は『グレート・エスケープ』(=大脱走と掛けている)の向こう側に行こうとしているんだよ!」と言い、笑いを誘った。
また、地元紙『Gazzette Standard』の記者からの「"Parklife”は、コルチェスター・パークを歌ったものですか?」という質問に、デーモンが「それは絶対ない!」と即答し、会場は大笑い。「どちらかというとハイド・パークだ」と断言。
とは言え、実はデーモン、地元コルチェスターにあった楽器店「AXE MUSIC」(現在は閉店)の看板を買いたいと思っているらしく、この記者に「君はコルチェスターを代表する新聞で働いているのだからなんとかなるだろう?」と相談。デーモンが初めてシンセサイザーを買った店とのことで、思い出がたくさん詰まっているらしい。
余談だが、デーモン、西ロンドンのスタジオStudio 13に伝説的ヴェニュー”アストリア”のサインを保有している。実は看板マニア?(近藤麻美)
情報盛りだくさんだった記者会見と、ウェンブリーへのキック・オフ初ライブのレポートは、ロッキング・オン7月号(6月7日発売)にて。