ザ・ローリング・ストーンズの“アングリー”を初めて聴いた時、このあまりにもベタなストーンズ・サウンドに驚愕するしかなかった。でも、ずっとこれを待っていたと感動もした。
この曲の衝撃は“スタート・ミー・アップ”を初めて聴いた時の衝撃そのままだ。浪人生だった当時、アフリカに赴任していた両親に数年ぶりに会うため移動の中継でチューリッヒに一泊し、その宿のラジオで突然、流れたのが“スタート・ミー・アップ”だった。あまりの衝撃で飛び上がって雄叫びを上げた。これ、新曲なのか、と。帰国して御茶ノ水のディスクユニオンに行くと『刺青の男』の輸入盤がずらっと並び、あの衝撃の曲が鳴っていた。『刺青の男』はその後、ストーンズのアウトテイク再利用作品として誹られることもあったが、本質的にはあの時点でのストーンズの底力をみせつけた作品だった。それは時流などをまったく考えずに済んだからそうなったのだ。
今回の『ハックニー・ダイアモンズ』もまさにそうだ。どうしてこんなアルバムが可能になったのか。次号のロッキング・オンではこの事情や思いを語るミック・ジャガーとキース・リチャーズのインタビューを掲載します。ぜひご一読ください!(高見展)
ザ・ローリング・ストーンズのインタビューが掲載されるロッキング・オン12月号