ノルウェーから世界のブラック・メタル・シーンを震撼させ続けるサテリコンが、前作『ナウ、ダイアボリカル』(06年)に続く7作目のアルバムを完成。ドラムのフロストと、ボーカルと他のすべての楽器を操るサティアーの2人を核に生み出されるサウンドは、耳をつんざくギター・ソロもなければ、声を荒らげたり雄叫びを上げることもなく、決して走り過ぎない落ち着いたスピードでじわじわと押し寄せてくるヘヴィネスで聴き手を圧倒する。呪文のように淡々と迫り来るボーカルに、高音が排除された暗黒のサウンド、そしてメンバーの険しい面持ちに至るまで徹底した冷徹さが感じられ、その分奥底にある熱情が一層強く伝わってくるようだ。ノルウェーの森の奥深くにある山小屋で作ったという、サテリコン史上最もヘヴィと評される全8曲には華美な装飾などないのだが、レコーディングの大半がLAで行われ、ジョー・バレシ(トゥール、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジなど)がミックスを手がけたことでその闇の中に新たな光が差し込みパワーを増している。来年3月には、昨年のLOUD PARKに続く再来日にして初の単独ツアーが決定!(網田有紀子)