僕は京の表現を信頼しきっているところがある。DIR EN GREYはもちろん、彼が撮った写真も、撮られた写真も同じだ。京がそのまま、そこにいるからである。少し文学的に言うなら、京の表現、それは「自分自身の作品化」である。営み自体を作品にするのだから、それは究極だ。その意味で、京と音楽的感性が一致したメンバーを集めたsukekiyoは京が京として惹かれるものを表現するバンド――つまり、「京自身」を純度高く作品化するための場所なのだと言える。
京はなぜ美醜に惹かれ、性と業を抉り、闇と影に異様なまでのシンパシーを抱くのか。それは京自身が、存在する「実感」をそこに見出しているからだ。そんな実感の結晶=『IMMORTALIS』にあるのは「歪み」だと京は言う。それはつまり、彼が受け入れ生きている、人間としての美醜と業そのもののことである。本作はたまらなく切ない、素晴らしい作品だと僕は思うが、それはメロディの情緒性や歌謡性だけによるものでは決してない。自身の「姿」に向き合い、生きていくことを決意した人間の営みというのは、それだけで感動的なものなのだ。(小栁大輔)
「京自身」との邂逅
sukekiyo『IMMORTALIS』
2014年04月30日発売
2014年04月30日発売
ALBUM