インディもメインストリームも総エレポップ化するシーンの風向きを変える決定的なアルバムになるだろう。ある種原点へ戻りつつ、これまでで最もダンスへと舵を切った5作目。U2〜コールドプレイへと続くスタジアム・ロックのスケール感と今様にアップデートされたNWサウンドが融合し、マルーン5ならではのウェスト・コースト風味の効いたポップスへと昇華されている。しかも、その名も“リーヴィング・カリフォルニア”というミドルテンポの極上アンセムでハイライトを迎えるのだから凄い。マルーン5史上最も洗練され、コンセプチュアルな作品と形容することもできるだろう。ばきばきのフロアユース“イン・ユア・ポケット”や変てこなコード進行のシンセと90sR&Bっぽさが癖になる“フィーリングス”など、マックス・マーティンとのタッグもいよいよ脂が乗り切った感も。それこそ共作者としてクレジットされているネイト・ルイスのファン．の新世代リスナーも取り込むこと必至。R&B、ソウルをベースとするロック・バンドが本気でエレポップをやるとぐうの音も出ないという凄みも備えた外さないマルーン5の最新形だ。（羽鳥麻美）