絶好調のポール

ポール・マッカートニー&ウイングス『ヴィーナス・アンド・マース(デラックス・エディション)』
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ALBUM
ポール・マッカートニー&ウイングス ヴィーナス・アンド・マース(デラックス・エディション)
ポールのアーカイヴ・シリーズ第6弾は75年の傑作『ヴィーナス・アンド・マース』。前作『バンド・オン・ザ・ラン』が内容的にも商業的にも大成功を収め、改めてメンバーを再編成したウイングスによる作品だが、とにかくこの時期のポールの創作力はのりにのっていて、しかも過剰になることも詰めの甘さもなく、絶妙のまとまりを閃かせているのでポール作&リードのナンバーはどれもシングル・カット可能と言いたくなるほど。

しかし常にワンマン・バンドという見方しかされないことに対する反発としてデニー・レインにリードを取らせたり、ジミー・マカロックが作った曲などが入っているのだが、やはりこの時期のポールの充実度を前にしてはかなり魅力が落ちるのは仕方のないところ。それでも全体の足を引っ張るようなことはなく、ウイングスの現実を示しているのが、今となれば好感が持てる。

ボーナス・ディスクでは、ニューオーリンズ録音時に録られた“マイ・カーニヴァル”は嬉しい初収録だし、ペギー・リーに贈った“レッツ・ラヴ”のポール・ヴァージョンが個人的にはとくに耳に残る。(大鷹俊一)
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