生活の中に自然に流れ過ぎていて強くは意識してなかったが、2007年から7年間続いたチオビタ・ドリンクとの歴史の中で、くるりのCMソングは10曲に及んだ。岸田繁は大貫妙子に、「チオビタのCMの曲が良い。歌って」と言われて色々歌ってみたが、結局どの曲のことなのか判明しなかったとライヴで明かしていたが、そういう意味でも重宝するであろう、その名も『くるりとチオビタ』という企画アルバムが発表される。
“jubilee”“太陽のブルース”“奇跡”“ロックンロール・ハネムーン”“シャツを洗えば”……そして最新の“loveless”と、くるりの数ある名曲の中でも特に「愛情一本」な曲がずらり並んでいる。くるりとは、その土地・都市の匂いを、とても奥行のある素養の高いサウンドにとじ込め、繊細で豊潤な感情を宿らせることにかけて天下一品のバンドだ。世界中どこにいたって、人には出会いと別れが訪れ、常日頃感情と光景が降り注いでいるものである。日々に寄り添い、心に染み渡るこの10曲を聴くと、改めてくるりが一生活者にとってかけがえのないバンドであることがよくわかる。（小松香里）