荒野に旗を掲げるということ

黒木渚『虎視眈々と淡々と』
2015年01月21日発売
SINGLE
黒木渚 虎視眈々と淡々と
14年の始めに黒木渚がバンドからソロになったのはひと言で言えば、ソングライターとして/バンマスとしてメンバー間のバランスを取っていた黒木渚が、己を削った表現へと大きく踏み出した結果「もうバランスを取っている場合ではない」と腹を括った――ということだったと思う。そして、そんな彼女の決意は、ソロ初のアルバム『標本箱』から約8ヵ月ぶりの新作となる3rdシングルの今作からもリアルに伝わってくる。アグレッシヴなビート感&グラマラスなストリングス・アレンジとともに《信じる事など止めてしまえよ 半端に傷つくくらいなら》と自他へ刃を突きつけ《体ひとつ女ひとり 虎視眈々と淡々と》と決然と宣誓してみせるタイトル曲“虎視眈々と淡々と”はもちろん、生命の手応えを凄絶なイマジネーションに満ちた言葉で確かめていくような“ようこそ世界へ”、《戦って行くの本当の名前で/私を本命にしてよ》と虚飾なき裸の歌声とアコギ1本のみで己の現在地を刻む“大本命”……自分自身の運命を背負って本気で世界と向き合う表現者だけが持つ迫力に、今作の4曲は満ちている。(高橋智樹)
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