大衆的だからこそ変

フォール・アウト・ボーイ『アメリカン・ビューティー/アメリカン・サイコ~デラックス・エディション』
発売中
CD+DVD
フォール・アウト・ボーイ アメリカン・ビューティー/アメリカン・サイコ~デラックス・エディション
再結成してからの1発目、前作の『セイヴ・ロックンロール~』も楽しいアルバムだったが、さらにロック/パンクのしきたりをシカトして、ポップスというよりメインストリーム・ヒップホップの手法を好き勝手に取り入れている本作はより自由度が高いが、同時にその“お遊び”によりフォーカスされていて、さらに聴き応えのある素晴らしいアルバムである。冒頭からモトリー・クルーやスザンヌ・ヴェガ、さらには60年代のオカルト・コメディ番組『モンスターズ』の主題歌などをとりとめなくサンプリングしているあたりがその自由度のわかりやすい象徴だが、個人的には前作の“僕の歌は知っている”で使われたヘヴィなベース音がより効果的に多用されていたり、1曲目のデジタルなブラス・サウンドなど、現在のヒップホップに通ずる大袈裟なプロダクションが全面的に施されていたりするところがかなりツボ。メインストリーム受けするような曲を書くロック・バンドはごまんといるが、逆にメインストリームの手法をそのまま自分たちのサウンドに取り入れるバンドは少ない。それこそ、FOBの特異性というのがいつも面白い。(内田亮)
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