正式メンバーが橋本絵莉子と福岡晃子のふたりになってさまざまな楽器と戯れながら作り上げた『変身』というアルバムは、まさしく女性がロックを鳴らす衝動と誕生の結晶だった。
橋本が結婚と出産をしたという事実は、確かにバンドにとって大きな出来事ではあったけれど、このニューシングルを聴いて再確認したのは、そのはるか以前にチャットが揺るぎない女性のロックを鳴らしてきたという事実だ。
新たなサポートメンバーとして、ドラムに北野愛子とピアノ&シンセサイザーに世武裕子を迎え、通称「乙女団」という4人編成で制作された本作で、チャットモンチーはあらためて女性という生き物の切なさの深部をあぶり出している。あえてラフに仕上げたと思われるアンサンブルで聴かせる静の1曲目と動の2曲目におけるコントラストもいい。すべてをわかっているチャットは、強い。本当に、強い。(三宅正一)