サウンドアレンジも音楽家のメッセージ

sumika『Beatnik』
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sumika Beatnik
新曲“Beatnik”のふたつのバージョンを収録。既存の価値観に反抗するヒッピーカルチャーに繋がった「ビートニク」が示す通り、両曲で表現されているのは閉塞感を打ち破って心を解き放つ姿だが、各々の印象がかなり異なっている。プロデューサーとして迎えたTAKU INOUEがトラックを手掛けた“Beatnik -Bird-”は、スクウェアなビート、立体的に配置されたシンセサイザーの音像、タイム感や残響を細かに処理したコーラスの添加により、天高く飛び立つような形で「解放」を表現。それに対してsumikaのセルフプロデュース、人力によるバンド演奏を土台とした“Beatnik -Horse-”の「解放」は、緑の大地を吹き抜ける爽やかな風のよう。自由で力強い生命力にあふれている点は同じだが、前者は鳥、後者は馬のイメージがまさしく当てはまる。ふたつの手法の提示でひとつのテーマを立体的に浮き彫りにしているのが楽しい。サウンドアレンジが音楽にとって非常に重要な要素であることも再確認できる作品だ。(田中大)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年1月号より)


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