「書けてしまった」名曲たち

ザ・コーラル『シングル・コレクション』
2008年11月26日発売
ALBUM
ザ・コーラル シングル・コレクション
デビューから6年で早くもリリースされたコーラルのベスト・アルバム。シングル集のディスク1も、彼らがいかに最初から完成されたバンドであったかを示していて興味深いが、これはディスク2にこそ意味があるのではないか。アウトテイクや未発表曲(新録もあり)、さらにライブ音源が多数収められているのだが、そのどれもがおしなべて素晴らしい出来なのだ。デビュー以来毎年のようにアルバムを出してきた彼らだが、いまのシーンでそんなペースで曲を作り続けているバンドはほとんどいない。もっとも、金太郎飴のようなアルバムを毎年量産されるよりは、3年に1枚でいいから深みのあるものを聴くほうがいい。量より質、である。しかしコーラルの場合は量も質も、なのだ。そのビンテージなサウンド同様、スタイルもまるで60年代のよう。常に曲を書き、ばーっとレコーディングして、一気にリリースする。それでも曲が余り、こうした形で発表される。とにかく曲が出てきてしまうのだろう。きっとまだあるはずなので、数年おきにこういう在庫整理をやってもらいたい。それだけのアルバムでもいいから、全部聴きたい。(小川智宏)
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