15年11月にロンドンで行われた本作の全曲再現ライヴが、アルバムのために制作されたショート・フィルムと完全同期して披露されたように、この『夜の瞑想』は非常にコンセプチュアルに構成された一枚だ。前作『ブラッドスポーツ』がプリミティヴなエネルギー漲る直情的なサウンドと共に、まず何よりもバンドの復活を高らかに宣言していたのと対照的に、本作での彼らは明らかに復活と歓喜の次の段階へと歩みを進めている。再結成のボーナス・ステージから最も早く脱したのが彼らの自意識だったという点がいかにもスウェードらしいし、彼らの第2章に対する信頼の何よりの証左でもある。リプライズやコラージュを用いてひとつの主題を様々な角度に変えて語り描いていく本作のコンセプトは『ドッグ・マン・スター』とも近く、あのアルバムの深く濃く闇を抉るハードなマナーをも受け継いでいる。しかし、“ライク・キッズ”や“ノー・トゥモロウ”といったギター・アンセミックなナンバーと共に、闇に耽溺する刹那の代わりに、そこを突破して高みを目指す瞬間がしばしば見られるのが、本作の、2016年のスウェードの逞しさだ。(粉川しの)