『Re:Re:』それこそ「初期アルバム完全再現ライヴ」でもなくキャリア総括的な「セルフカヴァーベスト盤」でもなく、「初期名盤にしてバンド最大のヒット作でもある2ndフルアルバム『ソルファ』('04年)の完全セルフカヴァー盤」(今秋発売)という極めて稀なリリース形態で自身の結成20周年を祝福するのも、アジカンならではの趣向と言えるだろう。遅咲きのメジャーデビュー直後、いきなり訪れた大ブレイクで過熱する状況に追いつくために必死にもがき転がり回るカオティックな日々の中、1年足らずで作り上げた『ソルファ』は同時に、初期衝動爆裂1st『君繋ファイブエム』とも、奮い立つ音楽探究心を前面に打ち出してサウンドデザインを大きく変化させた3rd『ファンクラブ』以降の作品とも異なる葛藤と苦悩の季節の記録でもあった。が、そんな「『ソルファ』最新型」に先駆けてシングルとして発売される新録版“Re:Re:”の、ライヴではもはや定番となったイントロのアレンジ、そして「今」の表現力とスケール感は、明らかに「あの頃」ではなく「その先」を照らし出すものだ。早くアルバムを通して聴いてみたい。(高橋智樹)