野生の振子が歴史を進める

トラッシュキャン・シナトラズ『ワイルド・ペンデュラム』
2016年05月04日発売
ALBUM
トラッシュキャン・シナトラズ ワイルド・ペンデュラム
UK北部で80年代後半に結成されたギター・バンドとして、ぼく的にはトップ・クラスに位置する。メランコリックな部分とポップなメロディーを併立させる手腕が並じゃない。そのあたりがケルトの血によるものかどうかは断定不可能。そして彼らは90年代から現在にいたるまで、ここ日本でも高い人気を保ってきた。これは掛け値なしに、はっきり言える。

約7年ぶりのスタジオ新作アルバム、どきどきしながら聴いた。おお、驚くほど素晴らしい。彼らも結構なヴェテランになってきた。キラキラしたギターの響きが最も印象的だった初期とは、また違った方向性の魅力が出てるよ。いい意味でナチュラルな年輪を感じさせる。温かい雰囲気でスタートして、内省的にゆったり締めくくる。そう、ここには理想的な春夏秋冬があるのかも。

ゴミ箱シナトラたち、なんてバンド名にうかがわれる「ねじれ」も、これまで以上に気持ちよく響く。昔はそれが若気の至りっぽかったのが、今は嫌味のない素敵なミドル・エイジ・ガイズそのもの。フジロック出演も決定している。2、3曲目あたりが苗場で演奏されることを想像するだけで、期待に身震い!(伊藤英嗣)
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