誰彼構わず聴く者の視界をロック大平原に塗り替える全曲アンセムぶりで、いきなりロックの救世主的な熱視線をかっさらってみせたデビュー作『ザ・バルコニー』から約2年。この手のバンドに見られる「2作目でまったく新しい方向性」的なトライアルでリスナーを置き去りにすることもなく、キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメンはこの2ndアルバムでシーンのあふれ返る期待を真っ向から受け止めつつ、さらにその斜め上の高揚感とヴァイタリティを提示する、という最高のファイティング・ポーズを見せてくれている。ジェットやノエル・ギャラガーなどを手掛けたデイヴ・サーディをプロデューサーに迎えた今作。シングル曲“サウンドチェック”をはじめ、衝動の在り処を狙いすましたようにラフなドライヴ感に満ちた歌とサウンドを叩き込んでくる楽曲群はもちろんのこと、“7”、“グラスゴー”、“ヒースロー”など、相変わらず単語一発のぶっきらぼうなタイトル群も含め、スケールでっかいメロディとロックンロールを響かせる以外に何もないとでも言わんばかりの潔さが、次世代ヒーローの存在感をよりいっそう浮き彫りにする快盤。（高橋智樹）