混沌に満ちた音色とリズムの祭典

タイヨンダイ・ブラクストン『オレンジド・アウト E.P.』
発売中
EP
タイヨンダイ・ブラクストン オレンジド・アウト E.P.
昨年のアルバム『ハイヴ1』に続く新作。5曲入りのEPという体裁ながら、内容の濃さはアルバムに引けを取らない。打楽器と音色豊かなエレクトロニクス、さらにコラージュも交えて騒然とした音響空間を作り上げる、という『ハイヴ1』と地続きのコンセプトを窺わせながら、今回のEPではよりアブストラクトな嗜好と実験精神、加えてユーモアが前面に押し出されている印象だ。

タイヨンダイいわく「活気に満ち溢れるボロボロのハイスクール・バンド」という、サンプル・ヴォイスとブロークン・ビートが転がり回るM1に始まり、シンセ・ノイズやトライバルなパーカッション、ドローン、具体音のサンプリングなどが渾然一体となり織りなす、音とリズムの饗宴。または、聴覚と身体感覚を揺さぶる前後不覚のシャッフル、というべきか。解体と再構築を併せ呑むような展開にはシュールさを覚えるような耳愉しさがあり、『ハイヴ1』の続編として位置づけられることは勿論、起点となったライヴ・パフォーマンス『HIVE』以降のモードを総括するような到達点さえ窺わせる。この先に拓けていくタイヨンダイの新たなモードが楽しみ。(天井潤之介)
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