ネオアコの「遺産」ではない

モノクローム・セット『コスモノート』
発売中
ALBUM
モノクローム・セット コスモノート
2008年の再々結成以来コンスタントにアルバムを発表しているモノクローム・セットの、『スペーシズ・エヴリホエア』からわずか1年で到着した新作。凄い制作ペースだし貪欲な創作モードなわけだが、再々結成以降の彼らのアルバムは、新たな切り口を見出し進化していくというよりも、自分たちのサウンドが数十年の時を経てなお色褪せぬアクチュアリティを保っていることを証明し続けている作品群であると思う。それは本アルバムも同様で、繊細にして甘やかな感触と硬質でダークな感触を併せ持ったギターや、ルー・リードからモリッシーまで想起させるビドの歌唱、そして美しいメロディの根底で脈打つパンクの血脈と、モノクローム・セットの代名詞と呼ぶべきそれらのエッセンスにきっちり現代の命が吹き込まれている。俗にネオアコと括られる一群の中でも彼らはジョセフKらと並んで特にポスト・パンク色の強かったバンドで、本作を聴くと、そのエッジの部分こそが彼らの普遍性の源であったことが実感できるはず。若いリスナーは本作を聴いてフランツ・フェルディナンド辺りを連想するだろうが、それは当然のことなのです。(粉川しの)
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