悲劇で終わらせない

ヴァイオラ・ビーチ『ヴァイオラ・ビーチ』
ヴァイオラ・ビーチ ヴァイオラ・ビーチ
今年2月に初のワールド・ツアーで訪れたスウェーデンで交通事故に遭い、メンバー4人全員が亡くなるという大きな悲劇に見舞われた英新人バンド、ヴァイオラ・ビーチ。彼らの死は大きな衝撃を与え、コールドプレイはグラストンベリーで彼らを追悼して本作収録の“ボーイズ・ザット・シング”をカヴァー、そして多くのミュージシャン、ファンの支持を受けて全英1位に輝いたのが本アルバムだ。あまりにも哀しい背景を負ってしまった作品だが、もちろんここにはそんな未来の影は差し込んでおらず、デビュー・アルバムらしいナイーヴで荒削りな王道インディ・ギター作に仕上がっている。重心後ろでスラッカー気味な演奏、荒削りながらその削り取られた破片がチラチラと繊細な光を放つメロディ、ぴたりとはまるコーラスは、リバティーンズやクークスを彷彿とさせる。また小刻みにビートが刻まれるニュー・ウェイヴ調のダンス・チューンはトゥー・ドア・シネマ・クラブに近いものも。ブロッサムズやキャットフィッシュのような王道インディ・バンドが成功を収めている今のイギリスでは、彼らの可能性は十二分にあった。その未来が見てみたかった。(粉川しの)
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