ベスト盤＆アルバム『BLOOD AND LOVE CIRCUS』のリリースに3度目の武道館に、と結成10周年アニバーサリーの祝砲を自らぶっ放すような2015年を経て、シングルとしては『MOTHER』以来約1年5ヶ月ぶりとなる今作。メランコリック＆ワイルドなギターの響きとミドルテンポのグルーヴが描くざらついた風景越しに、《夢とバッハとカフェインと／とんがったシロップ》に象徴される色褪せないロマンとセンチメントを浮き彫りにしていくチバの歌声。そして、《どこまでも広がるCOSMIC／いつまでも広がるCOSMIC》のリフレインに続く《どうやら実はそんなとこからも／俺は　抜け出したいらしい》という一節で、ロックンロールをあらゆる呪縛から解き放ってみせる――エンジン過熱の爆走感や全身震撼ものの音圧によってではなく、イマジネーションの力で限界を超えていくマジックが、表題曲“夢とバッハとカフェインと”には確かに潜んでいる。ディープなサイケデリアとその果ての覚醒感が、レゲエ〜ダブの濃密なビートとともに渦巻いているカップリング曲“気が知れない”も最高。（高橋智樹）