純然たるロック。それも、たとえばTHE BLUE HEARTSであるとか、純然たる日本語ロックの血流を継ぐ存在がこのKOTORIである。2014年に埼玉県越谷市にて結成された4人組バンド。本作『kike』が1stフルアルバムとなる。僕は彼らを知らなかった。資料を手に取り、本稿を書くまさに今が初めてKOTORIを聴く瞬間だ。再生ボタンを押し、1曲目は“kaze”。日の出の光がゆっくりと闇を切り裂くように、コードとノイジーな装飾音が少しずつ空気を震わせる。突如、猛烈な勢いでギターが鳴り、歌が始まる。それは掻き鳴らさなければ、叫ばなければここにはいられないという、魂そのものの震動だ。すっげえ、なんてかっこいいやつらが出てきたんだ！ この純粋な感動を、ただただ伝えたい。広まってほしい。と、心底思ったのでそのまま書いてみた。冒頭のような分析ができたのは少しあと、彼らを知らなかったことに恥ずかしさを覚え始めた頃で。改めて、楽曲の王道性と歌詞の切実な焦燥感はシーンのド真ん中を射抜くポテンシャルを秘めていると思う。とりあえずライブに行かなきゃ。（秋摩竜太郎）