求愛のダンスを目指して

フェニックス『ティ・アーモ』
発売中
フェニックス ティ・アーモ
今夏サマソニの舞台に立つことが決定しているフェニックスの、4年ぶり通算6枚目のアルバム。譲歩することなくインディー・ポップ・バンドとしての作家性を花開かせてきた彼らは、『ウルフガング・アマデウス・フェニックス』から『バンクラプト!』にかけてキャリア最高の評価を得てきた。新作では、その絶大な支持とどのように向き合うか、ということがひとつのテーマとしてあったのではないか。カラフルで厚みのあるシンセ・サウンドとより懐の深いダンス・グルーヴを目指したことが、そのテーマに向き合った成果だろう。情熱的な愛に満ち、気障でエモーショナルでどこか滑稽でもある歌の数々は、イタリア語のフレーズをちりばめることで統一感がもたらされた。こういうポーズを取ることで、ラブ・ソングと強靭なグルーヴの落とし所を見つけるのが上手い。ギター・バンドとしての機動力に期待する向きには反しているかもしれないが、彼らはそもそもインディー・ダンスに近いところでキャリアをスタートさせたバンドだ。 “フィオール・ディ・ラッテ ”や“テレーフォノ ”といったスローな楽曲群が、またすこぶる良い。( 小池宏和)
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