脱帽

ロイヤル・ブラッド『ハウ・ディド・ウィ・ゲット・ソー・ダーク?』
発売中
ロイヤル・ブラッド ハウ・ディド・ウィ・ゲット・ソー・ダーク?
UKロックのホープ、ロイヤル・ブラッド待望の2作目。やはりベースとドラムだけのデュオ編成となれば創作上の枷はキツく、例えばライトニング・ボルトのようにライブでこそ本領を発揮するタイプになったり、デス・フロム・アバヴみたいに継続的な活動ができていなかったり、実験色とポップ感の綱引きが先鋭性を引き出す起爆剤になるとはいえ、どうしても限界はあるのだなあと思っていた。だが、そんな中にあってロイヤル・ブラッドの楽曲は、もう異次元の完成度を見せている。

新作でも息切れしてしまった様子は一切ない。このスタイルにアイデンティティを強く持っているのだろう、あからさまな他楽器のオーヴァーダブなどせぬまま聴き応え満点の内容を保っていて感嘆する。未だに謎が多いマイク・カーの奏法だけでなく、力強くグルーヴィーで意外と細やかなベン・サッチャー(到底こんなドラムが叩ける顔をしていないところがまたいい)のプレイも絶大な貢献を果たしているのは間違いない。マイクの声質が結構チャラい感触なのもポイントか。こんなことをやってのけるやつらがいる限り、まだまだロックに未来はある。 (鈴木喜之)
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